日本企業にとっての
企業文化変革の必要性
さて、今、日本企業が置かれている状況はどうであろうか。新興国の台頭、国内市場の飽和・縮小、競争環境の激変など、多くの企業が厳しい環境に直面していることは、疑問の余地がないだろう。
例えば、組織・人事領域では、「グローバル化」が重点戦略テーマになっていない企業を探す方が難しい状況であるし、大きくビジネスモデルを変革しようとしている企業も多い。これらの取り組みは、TQMやダウンサイジング、リエンジニアリングどころの騒ぎではない。企業文化も変革していかなければ、とても改革が成功するとは思えない。
一部には、カルチャー・トランスフォーメーションを実現し、業績を上げている企業もある。日産自動車などは、その代表例であろう。しかし、多くの企業が、事業環境が激変しているにもかかわらず、企業文化の変革に手がつけられていない。欧米のみならず、新興国の有力企業がカルチャー・トランスフォーメーションに取り組んでいる中で、このままでは失われた20年どころか、取り返しがつかない事態になるのではと、危惧せざるを得ない。
企業文化の変革は
何故に難しいか
日本企業のカルチャー・トランスフォーメーションが遅れているといっても、これまで何もしてこなかったわけではないだろう。企業文化が業績向上に極めて重要であることは、多くの経営者が認識していることである。問題は、これを変革することは、非常に難しいということである。読者の中にも、自社がこれまでに企業変革プログラムに取り組んだことがある、という方も多いだろう。しかし、それがうまくいった、と答える方は少ないのではないか。なぜか?
第一に、企業文化は目に見えない。目に見えなければ、何が悪いのか、どう変えればよいのか、あるいはさまざまな努力の結果として変わってきているのか、把握することができない。第二に、一人の人間の行動を変えるだけでも難しいのに、企業文化を変えるためには、その組織全体の行動を変え、維持しなければならない。第三に、企業文化を変えようとすると、たいていの場合、批判や冷笑、抵抗にあう。その結果、変革が維持できなければ、すぐに元の企業文化に戻ってしまう。



