シリーズ1回目では、マネジャーが「連携」「変革」「育成」という3つの経験から、「情報分析力」「事業実行力」「目標共有力」という3つの能力を身につけていることがわかった。つまり、「連携」「変革」「育成」の3つは、マネジャーが「一皮むける」ために必要な経験なのだ。
2回目の本稿では、いかにすれば「連携」「変革」「育成」の経験を積むことができるのかについて考えたい。
何が経験を決めるのか
経験は偶然で決まるとよく言われるが、偶然だけですべてが決まるわけではない。経験に影響を与えている要因として私が想定したのは、次のとおりである。
・過去の経験
・過去に獲得した能力
・仕事の姿勢(目標の性質)
・上司からの支援
まず、過去に特定の経験を積んでいれば、その後もその経験が積みやすくなると予想した。なぜなら、1回経験すれば、その経験が何をもたらすのかがわかるし、そこで知り合った人々との関係もできるからである。
また、能力が高い人ほど、チャレンジングな経験に巡り会う可能性も高くなると考えた。優秀な人に仕事が集まることを考えると、能力の高さは良質な経験を積む条件の一つになるだろう。
さらに、本人がどのような姿勢で仕事をしているのか、どのような目標を目指して仕事をしているのかも、経験に影響を与えると思われる。仕事の姿勢としては、好奇心・挑戦・独自性などを重視する「学習志向」と、成果を上げることを重視する「業績志向」の2タイプを測定した。
そして欠かせないのが、仕事に対して影響力を持つ上司からのサポートである。上司の支援としては、アドバイス等を与える「直接指導」、仕事を任せる「権限委譲」、社内外のキーパーソンとの対話の機会を提供する「対話機会」の3つを想定した。