カルチャー・トランスフォーメーションという言葉を、初めて聞かれる方も多いだろう。日本語にすれば「企業文化の変革」になろうか。組織・人事の世界では、最近、欧米のみならず、中国やブラジルなど新興国で、多くの企業がこのテーマに取り組んでいる。一方、日本については、一部を除き、このテーマに真剣に取り組んでいる企業は少ないように見受けられる。しかし、事業環境が大きく変化している日本企業こそ、いま、まさに取り組むべきテーマではないかと痛感している。
京都大学工学部卒業、同大学院応用システム科学修士、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)経営学修士(MBA)。東レ株式会社、ボストン コンサルティング グループを経て、2009年より現職。2010年より同社コンサルティング部門責任者。医薬品、消費財、流通、情報通信等の幅広い業界に対し、グローバル人事制度構築、リーダー育成、M&A支援等、幅広いコンサルティングを実施。
そこで本シリーズでは、4回に分けて、カルチャー・トランスフォーメーションについて紹介していきたい。1回目は、カルチャー・トランスフォーメーションとは何か、何故、今それが重要なのか。そして、何故それが難しいのか、について述べたい。第2回目は、どのようにすればカルチャー・トランスフォーメーションを実現し、望ましい企業文化を作り、人々の行動を変え、業績向上を実現できるのかについて述べる。第3回は、少し古い事例ではあるが、示唆に富んだIBMのガースナー改革を取り上げる。最終回の第4回は、最近の新興国での事例をご紹介したい。
Culture means business
企業文化の重要性
さまざまな企業と仕事をされている方や、転職を経験された方であれば、企業には「社風」が存在し、それが企業によって異なっていることをご存じだろう。よく、「あの会社は官僚的だ」とか、「この会社はイノベーティブだ」と言ったりするが、企業文化は、社員の行動に強い影響を与え、その組織において物事がどのようになされるかを左右する。