毎年100人前後の
新卒社員が入社
国際自動車は“ただのタクシー会社ではない”と称される。その理由はまず、多角化した事業戦略にある。タクシー・ハイヤー・バス事業を中心に、自動車保険・自動車整備・自動車運行管理サービス、駐車場事業などを手掛けている。その中でもタクシー事業は、国内のタクシー会社の中でも最大規模の保有台数を持ち、近年はライドシェアに対応するため、ソニーと手を組んで“S・RIDE”という配車・決済アプリも立ち上げた。ハイヤー事業では東証プライム上場企業約200社と契約するなど、業界内でも突出した件数を誇る。
だが、何といっても同社の特徴は“相手を思う創意工夫”にある。「根底にあるのは、一つとして同じ対応が存在しない唯一無二の接客です。当社のドライバーは、お客さまが何を感じているかをいち早く察知して、創意工夫で対応します。最善策はマニュアルではなく現場にある。ドライバー自身が考え、臨機応変にお客さまの期待に応えているのです」(西川会長)。
そのために同社が徹底しているのが、“社員第一主義”である。“お客さまへのホスピタリティ”を実現させるには、社員と社員の家族が健康かつ幸せでいられることが前提にある、と考えるからだ。ホスピタリティを磨くために、社内に“ホスピタリティカレッジ”を設置。年齢や経験年数、性別や学歴に関係なく、適材適所の人材登用機会を与え、自分らしく働けるキャリア構築のために、社内インターンシップ“ジョブトレーニング”を用意する。
また業界に先駆けて10年から新卒採用をスタートしており、現在は毎年100人前後の新卒社員が入社する。募集は総合職とドライバー職があり、ドライバーから総合職へキャリアチェンジすることも可能だ。高齢化が進むタクシー業界の中で、同社は若手社員が数多く活躍しており、社内は年齢層のバランスが良く活気に満ちている。
女性活躍推進に
力を入れている
そんな同社が近年力を入れているのが、女性活躍推進だ。「kmウーマンプロジェクト1000」を立ち上げ、営業所には女性専用休憩ルームなど清潔で快適な空間を提供、セクハラ、パワハラを禁ずる運送約款の変更を行い、妊娠中はドライバーから内勤への配置転換が可能な“プレママサポートプログラム”を実施している。その結果、国土交通省から「女性ドライバー応援企業」の第1号認定を受けた。新卒社員も2、3割は女性で、班長などの管理職に就く女性も多い。
「女性活躍推進に力を入れているのは、お客さまが女性ドライバーを求めるようになったからです。例えば、妊婦さんを運送する“マタニティ・マイタクシー”の需要は多く、同性ゆえの安心感があるために、女性ドライバーが求められます。また高齢者の輸送に際しても、女性ドライバーならではのきめ細かな心遣いが喜ばれるなど、需要が増えています。タクシー会社は労働集約産業ですから、ドライバーがいなければ成立しません。そのため、誰もが健康で幸せに働けるよう、社内の労働環境を整えているのです」と西川会長。
今後タクシー業界は、将来的に自動運転が確実視されるなど、ドラスティックな展開も予測されている。「km」はそんな未来も見据えながら、次世代の若手社員と共にホスピタリティの在り方を追求していく。