テクノロジーで事務作業を自動化して負担を減らす
同社の武器の一つ「Terass Cloud」は、エージェントの活動を効率的にサポートする業務管理ツールだ。不動産売買に特化した顧客や契約の管理から必要な書類の作成まで、エージェントの事務作業を徹底的に自動化する。それによって、エージェントは顧客と向き合う時間が増え、充実したコミュニケーションを通じて、より良い不動産仲介が実現するのだ。
では顧客にとって、同社のエージェントはどのような強みを発揮するのか。
「まず、真にお客さま第一主義になれること。売上など企業の都合ではなく、焦らずじっくりお客さまの要望を聞きながら物件をアテンドすることができます。また、お客さまからの評価が知人の紹介や次回取引につながることから責任感を持って相続をはじめ不動産に纏わるさまざまな相談にも対応します。ライフステージに合わせた仲介を何度も依頼されることで長期的な信頼関係を築くことができます」
ちなみに、同社のエージェントの選考基準は厳しく、採用率はわずか5%ほど。多彩な経験と実力を持つ優秀なエージェントを揃えている。
要望に合わせて
優秀なエージェントから複数の提案が届く
もう一つの武器は、「Terass Offer」というウェブサービスだ。一言でいえば、不動産を買いたい人や売りたい人とエージェントを結ぶマッチングプラットフォームである。
エリアや金額、間取りなどの希望条件の他、フリーコメント欄で「静かな住宅街」「再開発があるところ」などの詳細なリクエストもできる。それを基に複数のエージェントから希望に合った物件の提案が届く。自分が許可するまでは匿名でのやり取りになるため、営業電話や連絡メールに煩わされることはない。自分に合ったエージェントを見つけて初めて連絡先を交換し、相談を進めていくのだ。
「エージェントにはそれぞれ“◯◯エリアに強い”“資金計画から相談できる”などの得意分野があり、お客さまの希望に合わせてアプローチします。同時に複数のエージェントとやり取りできるので、物件ごとに問い合わせを行うポータルサイトでの家探しよりも、希望の物件が見つかる可能性が高まります」
現在、同社に所属するエージェントは約400人だが、中期的には2000人体制を目指す。実現すれば、大手不動産仲介会社を抑えて日本最大級の不動産エージェントファームとなる。規模が大きくなれば、エージェントや顧客に対するサービス開発にも多くの投資ができるようになる。すでに住宅ローン関連や売却をサポートする機能を開発中だ。
「今後、市場拡大に伴い、顧客に正しい知見を与えられるエージェントの価値はますます高くなっていくはず。不動産取引の不安を解消し、住み替え需要を喚起しながら、取引の総量を増やし、日本のGDP向上に貢献したい」と江口CEOは未来を語る。
テクノロジーを用いて不動産エージェントの働き方を改革することで業界全体を変革していこうとする同社の挑戦に期待したい。