小規模自治体などを守るサービスを無償提供

佐藤 コロナ禍で日本では300を超える自治体で、コロナワクチンの申し込みサイトにアクセスが集中してサーバーに負荷がかかり予約もままならない状況が発生しました。その際に当社のCDNで順番を制御する機能であるデジタル待合室(Cloudflare Waiting Room)を無償提供しました。それが「Project Fair Shot」です。

私たちの使命は、より良いインターネットの構築を支援することであり、それは全ての人にとってより良いインターネットであることを意味します。そして、小規模で脆弱な事業体の予算や運営上の制約のために、地域社会の福祉が危険にさらされることがあってはならないと考えています。

そこで私たちは、これらの事業体が最も得意とすること、つまりコミュニティの基本的なニーズを満たすことに集中できるようにするために、日本を含む5カ国に、無償で当社のゼロトラスト(全てのアクセスを信用せずに検証する)機能を提供させていただく「Project Safekeeping」を昨年12月に発表しました。すでに10数件を超えるお申し込みをいただいています。無償で提供する機能は、大企業のユーザーの皆様に有償で提供させていただくものと同じです。

上原 自治体の立場でお願いしたいことは、Cloudflareの祖業であるCDNについてです。日本は、ご存じの通り災害大国です。特に台風や大地震では、自治体はフル回転しなくてはいけないのですが、フル回転をすると広報の機能が落ちるのです。なぜかと言うと、避難所の情報を一つ取っても、Webサイトにアクセスが集中して落ちてしまう。そこで、CDNがスポット利用できるととても助かります。

立命館大学・上原哲太郎教授が提言。全世界に展開するネットワークインフラの知見を生かして中小企業や地方自治体のセキュリティをサポートするには地方自治体の現場事情を知る上原教授ならではの視点で佐藤社長と率直な意見交換が行われた

佐藤 「プロジェクトGalileo(ガリレオ)」というプログラムがあります。芸術団体、人道団体、公民権活動家といった重要でありながら脆弱な組織を壊滅的なサイバー攻撃から保護するプログラムですが、日本においては災害対策が非常に大きなテーマなので、上原先生のおっしゃったようなケースには「プロジェクトGalileo」で対応させていただくことができると思います。

インターネットが社会インフラの一つになり、これからもますます重要性を増していく中で、当社は13年前からインターネットに着目して、その利便性を高め、安全で信頼性の高い、高速な環境の提供に尽力してきました。そして今、日本の皆さまにお役に立てる体制が整ってきたと思っています。本日上原先生からご提示いただいた課題も踏まえて、日本法人として全力で取り組んでいく所存です。ありがとうございました。

●問い合わせ先
Cloudflare Japan株式会社
https://www.cloudflare.com/ja-jp/

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