グローバル企業にとって、世界の各拠点で働く従業員の能力、スキルを可視化して一元的に管理し、人事データベースを全社的に統一することは、人財の適切な登用・配置・育成に不可欠な取り組みとなっている。しかし、多国展開すればするほど人事制度やシステムが国・地域ごとに多様化し、一元管理が難しくなりがちだ。ベアリングなどの機械加工品事業や電子デバイス事業をグローバルに展開するミネベアミツミもそんな悩みを抱えていた。
DXで日本が世界に後れを取っている主要因は「人財」
デジタル技術やデータの有効活用で世界に後れを取っているとされる日本。スイスのビジネススクール、IMDの世界デジタル競争力ランキング「World Digital Competitiveness Ranking 2022」を見ても、日本の順位は63の国・地域の中で29位と2021年から一つ順位を落とし、欧米の先進諸国やシンガポール、中国、台湾、韓国といったアジアの国々の後塵を拝している。ランキングを構成する要素を詳細に見ていくと、日本の弱みは「人財」(50位)であることが明らかになっている。つまり、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進は人財の強化なくしては進まないのだ。
近年、こうした状況に危機感を募らせてきた日本のグローバル企業を中心に、DXとそれを推進する人財育成の取り組みが活発化している。世界23カ国、125の地域に生産・研究開発拠点を展開するミネベアミツミも、そうした取り組みに意欲的に取り組む一社だ。ベアリングなどの機械加工品事業や電子デバイス、小型モーターなどの電子機器事業を手掛ける同社では、2020年8月にAI・DX推進部門を立ち上げ、生産性向上に軸足を置いたDXに力を注いでいる。
そのDX推進に欠かせない施策として同社が推進しているのが、グローバルな人事データベース構築による人事管理の抜本改革だ。背景には、M&Aによってグローバルに業容を拡大してきた同社ならではの悩みがあった。その積年の課題を解決するために同社が採用したのが、ワークデイの人財管理システム「Workday ヒューマン キャピタル マネジメント(HCM)」だ。
次ページからは、ワークデイ日本法人社長の正井拓己氏が、ミネベアミツミの常務執行役員でAI・DX推進部門とITサービス部門を統括する佐内桐梧氏に、Workday HCM採用の背景にある積年の課題と、同社が推進する人事管理改革の全貌について聞く。