実は、EVとして走ることができる距離を20kmから50km、100kmに伸ばすことは、さほど難しいことではない。搭載するバッテリーの量を増やせばいいのだ。ただしそうすると荷室や居住スペースが狭くなるうえに、車体も重くなってしまう。また、高価なリチウムイオン電池の量が増えることは価格の上昇にもつながる。

 どんなに性能がよくても、使い勝手が悪かったり手が届かない価格のエコカーは、普及しない。普及しないエコカーには意味がない。20kmという距離は、プラグインハイブリッドを世に広めるための数値なのだ。

ユーザーの7人に1人以上が
リッターあたり100kmの燃費を達成!

 プリウスPHVは2012年1月からの一般発売に先がけて、2010年末から法人向けに限定的なリースを行っている。また、愛知県豊田市の協力で個人一般ユーザーの実証実験も実施した。いち早くプラグインハイブリッドを導入したことで、実際に使用した時のさまざまなデータが蓄積されている。

 平日、休日ともに近距離走行がほとんどという、豊田市在住のAさん(専業主婦)のケースには驚かされる。1日あたり平均で3.4回も充電することで、EV走行が占める割合は94%にも達し、なんと燃費はリッターあたり249kmという驚異的な数字を記録した。

 もう少し一般的な事例として、豊田市在住のBさん(会社員)は、平日は往復15kmの通勤に使い、休日は遠出した。つまり平日はほとんどEV、休日はEV+ハイブリッド車として使った。すると、平均の燃費はリッターあたり41kmとなった。(図表2)

 補足すると、AさんもBさんも一般発売前のプリウスPHVでのデータであり、平均的な使い方より燃費に有利な環境にあったことは考慮する必要があるだろう。ちなみに、現在売られているモデルはさらに高性能になっている。一般発売したプリウスPHVの1346人のユーザーのデータを見ると、平均燃費はリッターあたり38.5kmで、7人に1人がリッターあたり100km以上の燃費を記録している。