圧倒的な大学合格実績を誇る渋谷教育学園。渋谷校・幕張校の両校で実践しているのは、生徒自身で必要なものを選択し、可能性を試す機会を与えること。2022年度就任した両校長に学園の教育理念を聞いた。
渋谷教育学園 幕張中学校・高等学校
田村哲夫理事長・学園長
渋谷教育学園の教育理念は「自調自考」。これには二つの意味がある。まず「自分で調べ自分で考える」ということ。好奇心を持ち、自分から取り組むことで、学びや気付きはより深くなる。もう一つは「自分を調べ自分を考える」こと。自分について深く考えることは、自己を理解し、社会で果たす役割について考えることにつながる。
「AIが進展する世の中で、人間にしかできないのは、未来の方向性を語り、未来のビジョンを持つこと。過去を分析して調べるだけでなく、それを基に次の段階へ考えを深めることができる、そのような子どもたちを育てていきたいと考えています。本校には知識を使って自分を表現し、社会に何かを訴えたいという生徒が多い。本校はそんな生徒たちの姿勢を積極的に応援しています」
そう話すのは、渋谷中学高等学校の高際伊都子校長だ。
さまざまな領域で
活躍する生徒たち
大学合格実績もさることながら、渋谷教育学園には多彩な才能を持つ生徒が集まっている。2023年『地図と拳』で直木賞を受賞した小川哲氏は幕張中学校・高等学校の卒業生。渋谷中学高等学校では、22年度に高3の高野知宙(ちひろ)さんが京都文学賞(中高生部門)を受賞、在学中に『ちとせ』を出版し、今春京都大学へ進学した。JAXA主催の“「きぼう」ロボットプログラミング競技会”で優勝した生徒や、フェイスシールドを3Dプリンターで制作して施設に寄贈した生徒、国際情報オリンピックで金メダルを受賞してシンガポール大学に進学する生徒など、活躍の場は実に幅広い。
「こうした活動をしている生徒は、必ずしも帰国生や成績上位層の生徒ではなく、普通の生徒たちも多い。本校の特徴は、何かに取り組む仲間の姿を見て、お互いに刺激し合いながら、いろいろな挑戦ができる環境があることです。私たち教員の役割は、そうした生徒たちの背中を押してあげること。大学に進学して何をしたいのか、それをじっくり考えられるのが中高時代であり、勉強以外のことも重要だというマインドセットを持たせたいと思っています」
そう語るのは、幕張中学校・高等学校の田村聡明(としあき)校長だ。
両校にはグローバルな言語能力を育成するため、課外授業として第2外国語講座(中国語・韓国語・フランス語・ドイツ語・スペイン語)があり、多くの生徒が受講する。またグローバルな教養でもある「弦楽器講座」もあり、毎年多数の応募者が殺到するという。
「受験勉強を強要すれば、教員が生徒の時間を奪ってしまうことになる。私たちは生徒の時間を生徒に返し、生徒が自分で必要なものを選び取ってほしい。この時期でしかできないことを体験し、可能性を大きく広げてほしいのです」(高際校長)
渋谷教育学園 渋谷中学高等学校
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渋谷教育学園 幕張中学校・高等学校
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