心の教育の伝統が脈々と受け継がれる実践女子学園中学校高等学校。「探究教育」「グローバル教育」「感性表現教育」を柱に、時代を見据えた改革も進め、実践力で未来を拓ける女性の育成を目指している。
湯浅茂雄校長
「堅実にして質素、しかも品格ある女性の育成」を教育方針に掲げる実践女子学園中学校高等学校。1899(明治32)年の創立時、校祖下田歌子が掲げた理念が脈々と受け継がれている。「その伝統を守りつつ、『実践力』で挑戦し、未来を切り拓ける女性の育成を目指しています」と語るのは湯浅茂雄校長だ。それを具体化させるのが「探究教育」「グローバル教育」「感性表現教育」の三つの柱である。
自ら課題を見つけ解決する力を身に付ける探究教育では、「持続可能な開発のための教育(ESD)」を実践。中1から高2にかけて行う「未来デザイン」の授業は、中1で調べ方や議論、発表の仕方を学び、中2、中3では現代社会の問題について考え、高1では修学旅行先をニュージーランド、シンガポール、沖縄から選択して実施、現地の課題に取り組む。
国際理解を深めるグローバル教育では、多彩な海外研修や留学メニューを用意。中3では「異文化交流体験プログラム」として外国人留学生を招き、渋谷界隈(かいわい)のフィールドワークを行って、留学生の視点で見た日本についても考え、発表する。
もう一つの柱「感性表現教育」は同校の伝統だ。「礼法」(中1、高3必修)で礼儀作法を身に付け、選択制の「日本文化実習」では華道や茶道、筝曲(そうきょく)などを学ぶ。
「これらは伝統や所作から思いやりの心を育てる教育です。お辞儀の仕方一つ取っても、当校の生徒は違います。日々の積み重ねから身に付くものなのです」と湯浅校長は目を細める。
高大連携を拡大
ユネスコスクールに加盟
湯浅校長は、これまで実践女子大学長などを歴任した人物。その影響もあり、実践女子大との連携も拡大している。2022年度は、大学教員によるデータサイエンスの夏期講座を実施。高校生は大学の授業を履修でき、単位も取得できる。大学祭など行事にも中高生が参加する。「キャリア教育の一環でもあり、大学の教育を見ることで、進路選択に役立ちます」(湯浅校長)。さらに企業連携にも積極的で、MIXIの社員からはプログラミングを学んでいる。
22年には、さまざまな取り組みが評価され、ユネスコスクールへの加盟が決定した。生徒によるユネスコ委員会を設け、ユネスコのプロジェクトと連動した活動を行っていく。
伝統の上に時代を見据えた改革を進める実践女子は保護者らの評価も高く、23年度も志願者を多く集めた。学校説明会などでは授業見学の他、在校生が校内を案内する場面もある。
「自慢は生徒です。生徒を見てもらえばどんな学校かが分かります。礼儀正しく、きちんと挨拶(あいさつ)でき、思いやりを持って行動できる優しい生徒たち。そういう子たちが集まり、切磋琢磨している学校です」と、湯浅校長は力強く語る。