先進的な教育に取り組み続けている神奈川大学附属中・高等学校。完全中高一貫の共学校で、国公立大学への進学実績も高い。今年から放課後や長期休暇中に一つの校舎の全教室を開放して自習を支援する取り組みを始めた。
小林道夫副校長
神奈川大学附属中・高等学校は先進的な教育に挑戦する学校として知られる。2021年度から2学期制を3学期制に変更して、月・火曜に7時限目を増やした。同時に中3・高1合同のゼミ形式でテーマを深掘りする「総合的な探究の時間」を新設。さらに22年度には中1~高1の英語と数学で、少人数習熟度別の授業を導入した。
23年度は授業以外での生徒支援に乗り出した。放課後や長期休暇中に教室を開放する「放課後自習室学習支援プログラム」だ。
4号館校舎に大小12ある全教室を自習用に開放。教室には学習コーチを配置し、生徒らの質問にも対応する。
「中学生は、部活動の後に復習・宿題などの学習を学校で完結させる。高校生には部活動などと両立させながら、自らの進路実現に向けて学校で徹底的に取り組んでもらう。自らの意思で主体的に行動できる自律型の学習環境を整え、学校で完結できるようにと考えたのです」
そう語るのは、小林道夫副校長だ。同校はこれまでも国公立大学受験を見据えた6年間のカリキュラムや講習などで手厚い学習指導をしてきたが、「自習スペースが欲しいなどの理由で、一定数が通塾していた」(小林副校長)。学校完結型で自律型の学習環境を整えることで、生徒たちの学習や進路に向けての意欲をさらに高める応援をする。
国公立など多様な進学先
海外大学推薦も拡充
加えて24年度は、高2から東大、京大など旧帝大を目指すⅠ型と、それ以外の難関国公立大や難関私大を目指すⅡ型に分類するコース制を導入する。「志を明確にして、互いに刺激し、最後まで頑張れるようにしたい」と小林副校長。同校は、国内の大学受験と並行して学校推薦による合否審査を受けられる海外協定大学推薦制度(UPAA)を導入、海外大学進学を視野に入れた多様な選択ができるのも大きな強みの一つといえる。欧米に加え、新たにオーストラリアも協定校に加わり、さらに選択肢が増えた。
23年春の入試では、東大3人、京大2人を含め国公立大に60人、医学部に20人、早慶上理に150人、海外大学にも8人の合格者を出している。
また、進学指導だけに偏ることなく同校は、タブレットPCなどICT活用にいち早く取り組み、国際社会で生きる力を育むグローバル教育にも力を入れてきた。中1~3がネイティブスピーカーを相手に3日間英語漬けになる「ブレイクスルー・イングリッシュ・キャンプ」、少人数の英会話授業(中1~高1)をはじめ、3タイプの海外研修(中3~高2)などを実施している。
「のびのび」として穏やかな生徒たちが多いという同校。生徒一人一人の目標に向けた多様な取り組みが、緑豊かな環境の中で丁寧に行われている。