2019年に創立100周年を迎えた横浜の伝統校。キリスト教に基づく価値観を育みながら、英語教育と理科教育に力を入れている。男女共に理系学部への進学が多いのも特徴で、近年は偏差値も上昇するなど人気を集めている。
長坂教生入試広報部長
「人になれ 奉仕せよ」を校訓に、教育ビジョンとして「OLIVE STREAM」を掲げている関東学院。OLIVEとは同校の校章のモチーフで、聖書に登場する平和の象徴といわれる植物。STREAMとは、理系重視の「STEM」教育に、芸術・教養の「Art」とキリスト教(宗教)の「Religion」を加えたものだ。
「本校では週1回、礼拝と聖書の授業を実施しています。宗教を学ぶとは、多様な価値観を持つ他者と主体的に交わり、異文化との距離を縮めること。グローバル社会の中で世界の動きを理解するためにも、宗教の学びを大切に考えています」と長坂教生教諭は話す。
同校の教育の特徴は、まず英語教育にある。週5回の通常授業に加えて、週1回の英会話、週2回のベルリッツの授業があり、中学1年では年間245時間の授業時間を設定。ベルリッツの授業は1クラスを3分割した少人数体制で、英語4技能を効率的に鍛えている。
「英語は練習しなければ使えないため“実技科目”と捉えています。そのため、見たこと、思ったことを英語にする練習や、発音と単語が一致する“アブクドゥ読み”などを導入、文法もバランスよく学びながら、反復練習を徹底して行っています。希望者には海外研修旅行もあり、昨年度から英国のイートンカレッジサマースクールに参加。こうした環境の中、20人以上が英検準1級を取得するなど、着々と成果を上げています」
理科教育の充実で
理系進学者が増える
もう一つの特徴は、実験を軸とした理科教育だ。同校は、生物・物理・化学・地学と総合的な実験が行える五つの実験室を備え、授業の4回に1回は実験を行う。実験を重視するのは、科学の本質や物事を探究する面白さを体感させるためだ。実験では専任の助手が付いて安全確認を徹底、気体の実験を行うドラフトチャンバーや培養実験を行うクリーンベンチをはじめ、顕微鏡が1人1台用意されるなど、設備も充実している。
高校ではより実践的なカリキュラムとなり、自分で研究テーマを考え、高大連携で関東学院大学理工学部教授のアドバイスも受けながら、研究レポートを作成し発表する。「2022年には、高校生バイオサミットin 鶴岡で、カタツムリの研究をした高3の生徒が優秀賞と審査員特別賞をタブル受賞しました。本校に入学してから理科が好きになる生徒も多く、卒業生の約半数は理系学部や医・歯・薬系に進学します」(長坂教諭)。
クラブ活動も盛んで、マーチングバンド部やダンス部は全国大会の常連。自らも卒業生という長坂教諭は、母校をこう語る。「学校側が画一的な価値観を押し付けず、どの生徒にも居場所があるインクルーシブ(包摂的)で自由な気風の学校です」。