独自の「創造性教育」を展開する瀧野川女子。2022年度、その教育が評価され「キャリア教育優良学校」として文部科学大臣表彰を受けた。創造性教育で培われる経験と能力は、面接試験主体の総合型選抜で強みを発揮する。
瀧野川女子の教育の特徴である「創造性教育」は、今の大学入試や社会で求められる創造性や起業家精神を、最先端のデザイン思考を駆使しながら、チームで新しい商品や仕事を創り出し、養っていく教育である。
中学では「理想の街」のジオラマや「大道芸ロボット」を創り、中3で修了研究を行う。高1では商品企画コンペティションを行い、高2で創造性教育の集大成ともいえる「事業化実習」にチャレンジする。
この事業化実習では、15人のチームで模擬企業を起業。マネジメント、財務会計、マーケティング、製造の各部門に分かれて新商品を創る。その創り出した商品を販売し、決算報告を行って、解散するまでの一連の流れを体験する。商品の販売は学園祭で行うほか、高2のハワイ修学旅行を利用して、ハワイ大学でチャリティーバザーを行う。
山口龍介副校長は、「生徒たちは1年間で、仲間たちと新しい事業を立ち上げ、それを仕事として成立させることを凝縮して体験します。それによって、自分が将来どのような能力を身に付け、どのように働きたいかを考えるようになる。その結果、確かな自信を持って進路を選択できるようになります」と説明する。
「創造性教育」が
全教科の根幹にある
瀧野川女子では、この「創造性教育」を根幹に据え、その方法を全ての教科学習に落とし込んでいる。授業では、好きなことに出合うために、まずやってみることを大切にしている。挑戦する中で新しい自分と出会い、自分の“好き”に気付くことができる。創造性教育での実践的な学びが、自分の“好き”と将来の仕事を見つけることにつながるのだ。
2023年、東京理科大学創域理工学部建築学科に進学した生徒は、入学当初は文学部志望だったが、村上春樹ライブラリーを訪れたことがきっかけで、建築と文学の融合に面白さを感じ、建築デザインに興味を持った。そして、多角的に建築について学ぶことができる大学を第1志望校に決め、学校推薦型選抜で受験し、見事に合格を果たした。「近年の大学入試は、覚えることが中心のペーパーテストから、面接や口頭試問を中心とした選抜に移行しています。そこでは、自分の好きなことを、仕事や社会貢献にどう結び付けていくか、そのために大学で何を学びたいのかを、自分の言葉で話せなくてはなりません。本校の9割以上の生徒は、総合型選抜や学校推薦型選抜で進学しています。創造性教育を中心とした私たちのキャリア教育が、本当に機能していると感じます」と語る山口副校長。
瀧野川女子の先駆的な教育が、真価を発揮する時代になりつつある。