1885年創立の伝統校で、「知・仁・勇」を備えた人間力の高いリーダーの育成が目標。2021年から中高完全一貫校となり、時代に即した革新に取り組み、卒業後を見据えたキャリア教育にも力を入れている。
1885(明治18)年創立の伝統校・成城は、「知・仁・勇」を備えたリーダーの育成を目指している。岩本正校長は「言い換えれば知識を持ち、人との対話をもって物事を進め、大事なときに決断できること。社会が求めるものがこの三つであるということは、130年以上たっても変わらないと思います」と話す。
同校は「文武両道」を掲げており、約100年続く伝統の臨海学校が有名だ。コロナ禍で中止していたが、2022年再開。通常行う中1と、まだ経験していなかった中3の2学年で行った。教員に加えて高2生も指導補助に就き、千葉県南房総市で2泊して、遠泳を体験した。中学生は泳ぎだけでなく、自分たちのために働く先輩の姿を見て学ぶのだという。
クラブ活動も盛んで、22年は関東中学駅伝大会に陸上競技部が東京代表として出場。自転車競技、相撲、速記、鉄道研究などユニークなクラブもあり、中学生の約9割が参加している。
そうした伝統の上に、成城は時代に即した改革を行っている。その中心がICTの活用とグローバル化だ。全生徒にタブレット型パソコンを持たせ、全教室にプロジェクターを設置。画像やアニメーションなども使った新しい表現の手段としても活用している。
グローバル化では、従来のオーストラリアや台湾へのグローバルリーダー研修に加え、22年度からニュージーランドへのターム(学期)留学を開始。さらに今年はカンボジアでの研修も予定している。校内でも、他校に先駆けて8年前から米カリフォルニア大などの大学生を講師に招いて行う少人数の自己啓発プログラム(GSP)も実施している。
表現力のための独自科目
キャリア教育担当を新設
さらに表現する力を育成するため、18年度から三つの独自教科を設けた。統計やコンピューター技術を学び、データを図表化する「数学統計」(中1)、文章力や思考力、プレゼンテーションスキルを身に付ける「国語表現」(中3)、ネイティブスピーカーの協力を得て、ライティングスキルを養成する「英語表現」(高1・2)を展開。さらに中1では図書館と連携して多くの本に触れ、グループで内容を発表する探究型学習のプログラムにも取り組んでいる。
また、キャリア教育にも力を入れており、22年、グローバル・キャリア教育の担当を新設。企業やOBの協力で講演会などを開催している。「世の中には多くの職業があることを知り、将来を考える材料にしてもらいたい」と岩本校長。「中高の6年間で自分の核になるものを見つけてほしいし、他の人とは違う視点を持つこともいいと思います。生徒たちのいろいろな芽をつぶさないように見守っていく、成城はそんな学校です」。