2023年、共学校として新たなスタートを切ったサレジアン国際学園世田谷中学高等学校。探究型の学びを軸にした本科、英語で学ぶインターナショナルの2クラスを設けた。主体的に課題を解決する「世界市民力」を養う。
市橋朋之本科推進部長
カトリック女子修道会が母体のサレジアン国際学園世田谷。共学化に伴い、新しいプログラムを導入した。新制度の下、この春入学した生徒の活気に溢れた様子から「すでに手応えを感じている」と本科推進部長の市橋朋之教諭は言う。「生徒たちは、物事を深く考えて表現することに慣れている、という印象を持ちました。授業でもすぐ手が挙がり、文章が上手な生徒も多い。成長が楽しみです」。
新プログラムに基づき設置されたクラスは、「本科」と「インターナショナル」の2種類。
探究学習を軸とした本科は中2から4年間取り組む「ゼミ授業」が特色の一つだ。自然科学、人文社会科学、数理情報プログラミングの三つの領域から選んだ一つのゼミに所属し、生徒一人一人がテーマを設け、自分で探究する。そこから討論、発表へとつながっていく。
その手始めが中1の「プレゼミ」。1学期の初めには興味のあるニュースを選び、自分なりの問いをそれぞれ持ち寄って討論した。「疑問を持つところから探究が生まれ、多角的な視点で物事を見られるようになる。そのトレーニングをしているところです」と市橋教諭は語る。
インターナショナルでは、英語力に応じ「アドバンスト」と「スタンダード」に分かれて授業をする。独自の「サレジアン・アカデミック・プログラム」では全員で、文化・社会・環境問題などを英語で探究、発信する授業を展開する。「森林破壊を取り上げた授業で、ブラジルで生活した経験のある生徒が、自分の目線で現地の話をしてくれたことがありました。そうした経験者がクラスにいることで、さまざまな社会課題が自分事になる。みんな、とても刺激を受けていると思います」と、インターナショナル推進部長の上田かおり教諭。
問題解決型学習で
論理思考を後押し
本科、インターナショナルの両クラス共に、問題解決型の学習法「PBL型授業」(プロブレム・ベースト・ラーニング)を全教科で取り入れている。「自分で考えるという行為を挟むことで、知識の定着率が受け身の暗記とは全く違ってきます」と上田教諭は話す。
進路の希望をかなえるために、2022年度から「進路チューター制」も開始した。担任や進路指導経験のある教諭が、生徒と一緒に、希望の進路や最適な入試の方法を見つけていく。今春中学に入学した生徒が高校に進んだ段階で取得できる、海外の高校卒業資格が得られる「デュアル・ディプロマ」の選択肢も準備を進めている。生徒のキャリア志望に応えられる、多様な選択肢を用意する。深い思考と主体性を育む新プログラムには、サレジアン国際学園世田谷が目指す「世界市民力」につながる学びの種がまかれている。