東京家政大学の附属校として歴史と伝統を持つ女子校。近年は“「KASEI」から「SEKAI」へ”を合言葉にさまざまな学校改革を実施。IB(国際バカロレア)教育も導入。豊かな感性と知性を備えた女性を育てている。
大澤 力校長(学校教育学博士)
2023年に創立142周年を迎える、長い歴史と伝統を持つ東京家政。
「自主自律」という建学の精神の下、インターナショナルスタンダードを目指し、探究学習とIB(国際バカロレア)教育を導入して、生涯学び続けられる女性を育成している。
中学校・高等学校は大学と同じ敷地内にあり、記念館や講堂、図書館や温水プールなどの共有施設もある。「今力を入れているのは、中高大連携を強化すること。大学の施設・設備はもちろん、人材を含めて創意工夫しながら、大学の高い専門性を活用できるよう、附属校としての強みを最大限に発揮したいと考えています」。そう語るのは、東京家政大学名誉教授でもある大澤力校長だ。
22年度は東京家政大学の子ども支援学科から教授を招いて、家庭科の保育の授業を実施。また環境教育学科から生物学の専門家を招いて、探究学習に取り組んだ。授業には同校の卒業生である同大学のゼミ生も参加、先輩が活躍する姿は生徒たちの良い刺激になった。
東京家政大学は、栄養学部、家政学部、人文学部、健康科学部、子ども支援学部、児童学部の6学部13学科を持つ大学で、内部進学には多くの優遇措置がある。内部推薦制度に加えて、推薦併願制度もあり、東京家政大学への進学が保証されたまま他大学にも挑戦できる。
海外大学の附属校(IB校)と
協力関係を締結
インターナショナルスタンダードを目指す同校は、IB(国際バカロレア)の認定候補校で、23年度中の認定を予定している。IB教育は、全人教育を重視して、国際的な視野を備えて世界に貢献できる「10の学習者」の育成を目指している。もともと東京家政では「愛情・勤勉・聡明」を“生活信条”に、社会に貢献できる、豊かな人間性を育む教育に取り組んできた。その意味で両者の親和性は高く、IB認定校への移行はスムーズだという。
すでに海外のIB認定校との交流は始まっている。ニュージーランドのマッセイ大学、カナダのバンクーバーアイランド大学の附属校と協力関係を締結し、語学留学やターム留学がスタートする。東京家政では今“「KASEI(家政)」から「SEKAI(世界)」へ”を合言葉にさまざまな学校改革に着手している。海外校との交流は世界へ広がる一端となる。
中学校では専属の栄養教諭(管理栄養士)が献立を作成する、日本型食事の良い点を生かした一汁三菜の「スクールランチ(完全給食)」を実施、貴重な食育の場となっている。「物事に真面目に取り組む生徒が多い」(大澤校長)という同校。附属校としてのメリットを最大限に生かしながら、世界レベルの教育を展開する女子校を目指している。