スポーツアスリートを数多く輩出する日本体育大学荏原高等学校。次代で求められる新たな力の習得にも尽力し、難関大学への進学者も年々増加している。1904年の創設以来、「知育・徳育・体育の調和」を基本理念に、世に有益な人材を育成し続けている。
松田清孝校長
確かな知識、仲間との協調性、社会貢献の姿勢を育む教育を実践する日本体育大学荏原高等学校。オリンピック日本代表をはじめ数々のトップアスリートを輩出し、昨年度は惜しくも甲子園出場を逃したものの、第104回全国高等学校野球選手権大会東東京大会において43年ぶりの準優勝に輝いた。指定校推薦枠により日体大へは今春176人が進学。入学者数は全国一を誇る。「日体大は体育専門大学と思われがちですが、スポーツマネジメント学部、スポーツ文化学部、保健医療学部など5学部9学科を擁し、体にまつわる文化と科学を幅広く学べます」と語るのは松田清孝校長だ。
現在同校では、学力面の向上に特に注力している。松田校長も「アスリートは優れた集中力があり、学業面でも結果を出す能力を内在しています」と力を込める。生徒本人も気付いていないその秘められた能力を引き出すために、2018年より「荏原イノベーションプロジェクト(EIP)計画」として、さまざまな学習環境の整備に取り組んできた。難関大学を目指す「アカデミックコース」では特別奨学金制度も導入し、より学力の高い生徒の積極的な受け入れも行っており、東京外語大、早稲田大、慶應義塾大などの難関大学進学実績は年々上昇し続けている。
全国の私立学校初
「学校情報化先進校」に認定
EIP計画の一環として、学校と学習塾が協働してつくる学びの場「荏原スタディセンター(ESC)」も設置した。松田校長は、「教職員と塾講師とが連携するため、各生徒の授業の習熟度も共有でき、より効果的な指導が可能です」と語る。
また、塾講師からのマンツーマンのコーチングで各生徒の希望・学力に応じた受験戦略を、「何を」「どのように」「いつまでに実行するのか」という具体的な日々の学習計画へと落とし込み、受験本番まで強力にバックアップしていく。
ICTの推進もEIP計画の根幹を担う。生徒全員が1人1台のタブレットを持ち、授業や宿題などの学習はもちろん、HR、部活動など多様な場面で最先端のICT環境を享受している。ICT活用を定着させるため、全教員参加の研修会を定期的に開催するなど、教員からICTへの理解を深め、電子黒板機能付きプロジェクターの導入、ネットワーク環境、クラウド化の整備などを順次進めていった。このようなICT活用に関する先進的な取り組みが評価され、21年度、日本教育工学協会学校情報化認定委員会から、全国の私立学校初の学校情報化先進校として認定されている。
教育理念である「求めて学び、耐えて鍛え、学びて之を活かす」の下、EIP計画をはじめとした取り組みにより、同校が目指す「より高い文武両道」へ着実にその歩みを進めている。