「高い品性を備え、人と社会に貢献する女性の育成」を目指す東京女学館中学校・高等学校。特色の一つである「国際学級」も開設20年目を迎えた。地域、そして大学との連携も深まっている。
渡部さなえ校長
2023年は東京女学館にとって節目の年に当たる。高1(現高2)の生徒が同校の制服のリボンをモチーフにデザインした「広尾移転100周年」のロゴは、パンフレットや特設ウェブサイトに使用され、創立記念日には記念式典も予定されている。「5年前の創立130周年から、学校の枠を超えて地域や大学との連携を進めてきました。コロナ禍で足踏みしていたところがありましたが、昨年度は高1の探究学習の導入として近隣の北里大学(白金キャンパス)ならびに東京女子大学・防衛医大の教授に出張講義に来ていただきました。
今年も北里大学と東京女子大学と連携し、合わせて9学部21学科の専門分野の研究に触れる導入講義を実施しています。生徒はそれらから複数を聴講してテーマを選び、論文を作成します」と、渡部さなえ校長は話す。理系の北里大、文系の東京女子大と連携することで、同校の生徒は理系・文系両方の学問に触れることができる。同校の国際交流に関心を持つ上智大学とも連携の準備が進められている。
地域との連携は100年前の広尾移転から始まった。特に近隣の日赤通り商店街とのつながりは深く、生徒が調理実習の食材を購入するなど日頃からの付き合いがあるという。「商店街をはじめ、地域の皆さまには長年、本校の生徒を温かく見守っていただいております。先日、『ジャパンタイムズ』とのタイアップで生徒が同紙の記者になり、英語で商店街を紹介する企画がありました。このような新しい形での連携も進めていければと考えています」(渡部校長)。
国際学級のスピリッツが
一般学級にも波及
英語圏の現地校に近い授業スタイルで、道具として英語を使いこなす語学力、論理的思考力と発信力、適材適所で力を発揮するインクルーシブリーダーシップを学ぶ国際学級も開設20年目を迎えた。
「団結力が強く積極的で、高度な英語力を備え、留学生の受け入れやホームステイのホスト役としても活躍する国際学級の生徒は、一般クラスにも好影響を与えています」と、渡部校長。
一般クラスも英語力が上がり、海外への関心も高い同校では、ユネスコスクール加盟の準備を進めている。一方、理系進学希望者が増えていることを受け、STEAM教育の充実を図り、数学+アートで立方体を製作したり、情報+アートで心地よい空間を3Dで表現したりと、新しい授業を展開している。
「高校では『音楽』『美術』『書道』と分かれていた芸術系教科を融合した新科目『芸術A』が高2でスタートしました。世の中のアートシーンではさまざまなコラボレーションがごく普通に行われています。本校でも、生徒たちに『表現』を重視した『芸術』を学んでほしいと考えています」(渡部校長)