下町の情緒が残る“清澄白河”に立地する。110年以上の歴史を持つ伝統の女子校で、入学後に学力を伸ばし、キャリア教育が充実した学校として知られる。最近は探究学習にも力を入れる。穏やかな校風で人気も上昇中だ。
創立は1909年、「機に応じて活動できる女性の育成」を建学の精神として、認知型学力と非認知型智力をバランスよく身に付ける指導を行っている。高校は、国公立大・難関私大を目指す「先進」と、探究活動やPBL型学習が特徴の「探究」、留学が必須で英語重視の「国際」の3コース制。規模の小さな学校なので進学実績に派手さはないが、過去に東大合格者を出すなど、多くの生徒が入学後に学力を伸ばしている。
力を入れているのが探究活動だ。2021年度から始まったのが「NQフェスタ」。中1から高2まで5学年合同で行う研究や探究の報告会である。高1までは学年から選抜された生徒がグループ発表を行い、高2の探究コースの生徒は全員が個人発表を行う。22年度は、「歩き方は個人情報?」「ミドリムシで世界の難民を助けることはできるのか」「地球温暖化で地球を破壊できるのか」「心臓移植で性格は変わるのか」など、多彩な領域でユニークな探究テーマの発表があった。
「高2生はテーマを決めて1年かけて探究活動を行います。探究が順調に進むよりも、むしろ壁に当たって試行錯誤しながら進めていく方が勉強になる。実は、そうした修正能力が社会に出てから役立つと考えています」
そう話すのは、江藤健教頭だ。
探究活動の目的は、自らサイクルを回し続ける力を身に付けることに加えて、物事の本質を突き詰めて考えること、その成果を人に伝えて共有することなどにもある。生徒たちは「NQフェスタ」で自信をつけ、そこで培った表現力や発信力を大学の推薦や総合型選抜などで発揮するという。
充実したキャリア教育で
進路を探究
中村はキャリア教育が充実していることでも知られる。大学受験をゴールと捉えずに「30歳からの自分」を思い描きながら進路を探究する。高2の秋には全員が第1志望校を決定し「宣言書」を作成する。担任とは別に、生徒一人一人に教員が付いて小論文作成や面接の練習などの指導を行う「キャリアサポーター制度」もあり、受験生に寄り添ってサポートする。ここ数年、難関大学への現役進学率は着実に上昇している。
清澄庭園の緑を一望できるコリドール(図書室)の他、吹き抜けのプラットホームやオープンテラスがあり、校内にはゆとりのある明るい空間が広がる。
「本校は少人数であるために、教員と生徒の距離が近いのも特徴です。放課後の職員室は生徒たちでいっぱいで、いつもにぎやか。質問が終われば雑談に興じている生徒もいます。本校は飾らず伸びやかな生徒が多いと感じています。近年は認知度が上がり出願者数も増えました」と語る江藤教頭。最近は中村の良さが、主に在校生や保護者の口コミで広がっているという。