広尾学園と教育連携を結び、共学校として生まれ変わったのが2021年。“自律と共生”を教育理念に、広尾学園と同等・同質の教育を展開している。文教地区の立地を生かした独自のプログラムも実践。
2021年4月に誕生した広尾学園小石川。広尾学園の教育システムを導入し、帰国生や外国人教員が多く在籍する環境は、開設当初から注目を集めた。
「本校には多様な考え方を持った生徒が、切磋琢磨して学ぶ環境があります。大切にしているのは、世界規模で世の中の事象を考える視点を養うこと。そのために、社会での活躍に必要な問題解決能力やコミュニケーション能力、他者を思いやる気持ちを育みながら、“自律と共生”の力を伸ばしていきたいと考えています」。そう話すのは、松尾廣茂校長だ。
キャリア教育では
広尾学園との連携も
同校は1学年が定員120人。本科コースとインターナショナルコースの2コース制で、本科とインターの割合は1対2。インターは帰国生中心のアドバンストグループ(AG)と、英語ゼロベースから始めるスタンダードグループ(SG)に分かれる。クラスは混合で編成され、外国人教員と日本人教員のダブル担任制だ。ホームルームは英語で行われ、AGの生徒はほとんどの授業を英語で学ぶ。
「AGの生徒は多様なバックグラウンドを持ち、SGの生徒はAGの影響もあって、とりわけ英語の上達には目を見張るものがあります。外国人教員も20人在籍し、日常的に英語に触れられる機会が多いため、英語力は確実に身に付いていきます」(松尾校長)
実際にSGでは、中学入学時は英検未取得者が多いが、中1終了時には英検2級取得者が約3割、中2終了時には約6割に増えるなど、大きな伸びを示している。
キャリア教育プログラムでは広尾学園との連携が多いのが特徴だ。最前線で活躍する科学者やジャーナリストを招いて講義を行う「広学スーパーアカデミア」をはじめ、ITプログラミングキャンプや天文宇宙合宿など、多彩なプログラムを共催。今年春休みには、広尾学園と合同で米国大学見学にも参加している。クラブ活動も一緒に活動する機会が多く、生徒同士の交流で両校の結び付きは強くなっている。
文教地区という立地を生かした体験講座も特徴の一つだ。東京藝術大学と提携してアート体験講座を開催したり、日本最古の東洋学の研究図書館「東洋文庫」と博学教育連携を結び、英語の「狂言ワークショップ」を開催するなど、本物に触れる学びも実践している。
「明るく素直な生徒が多い」と語る松尾校長。
校内で英語が飛び交い、海外大学の情報も豊富だ。
24年度入試からは、高校募集を停止し、中高一貫教育が完成する。現在新校舎の建設も始まっており、広尾学園小石川は開校から3年目を迎えて充実した未来を見据えている。