三輪田学園中学校・高等学校は、独自の探究学習MIWADA-HUBや読書教育などを中心に、生徒の自主性を育む伝統の女子校。近隣の法政大学との連携を強化し、進路選択の幅も拡大させている。
藤田純平進路部長
都心、東京・千代田区にある1887(明治20)年創立の三輪田学園。教育理念に「徳才兼備」を掲げる。その伝統と、探究学習など新しい教育への取り組みが評価され、近年志願者が増えている。
人気の要因の一つには生徒たちの力がある。在校生たちは学校が好きで、学校説明会の一部を生徒による広報委員会が主体的に企画、運営する。保護者や小学生を前に、自分たちが学校生活を生き生きと楽しんでいる様子を伝える。「生徒たちを見てもらえば、どんな学校かが分かります。人前で話すのが苦手だった生徒も自信をつけ、成長にもつながりました」と進路部長の藤田純平教諭は言う。そうした生徒たちの自主性は、MIWADA-HUBなど教育実践の成果でもある。
MIWADA-HUBは中2、中3を対象にした探究学習で、生徒が九つの講座から興味ある分野を選び、自ら課題を設定し、情報収集、分析、発表を行い、主体的に学ぶ。それを発展させた高校のMIWADA-LABでは、教科の枠を超えて生徒が自由に課題を設定し、社会性やキャリアも見据えつつ、プレゼンテーションで表現力も育てる。
また、伝統の読書教育も特徴で、図書館にある5.5万冊の蔵書を生かした国語科読書(中1)と社会科読書(中3)の授業がある。社会科読書では社会へ視野を広げ考察力を高めることを目指し、自ら選んだテーマで卒業論文も書く。
法政大の講座を定期開催
人生を見据えた進路指導
2023年度から新しい取り組みも始めた。法政大学とは従来から連携していたが、新たに30人の協定校推薦入試の枠を設け、高大連携講座や、高校生が大学の授業を受けられる特別聴講制度を始めた。高大連携講座は毎週、法政大の教員が同校に放課後出向いて各専門分野の講義を行い、受講生は夏休みに小論文を書いて提出するというもの。藤田教諭は「法政大に行くためだけの講座ではなく、他大学志望の生徒も対象です。大学の学びに触れるのは、生徒にとって大変良い経験になります。初回は法政大の廣瀬克哉総長が大学での学びについて講演してくださいました。その中で、『大学は最新の知見が生まれる瞬間に立ち会える場だ』というお話をされ、生徒にも刺激的だったと思います」と語る。
進路指導も段階を踏んで丁寧に行う。中3の秋に卒業生への職業インタビューをして将来を意識させ、高1では大学の学部学科ガイダンスなどを通じて、希望の職業に就くためにはどんな大学、学部が適しているのかを掘り下げ、高2で志望理由書を書く練習をする。漠然とした興味から、人生設計を前提に、職業や進路を絞り込むように指導するのだ。生徒が自分の未来を切り拓いていけるよう、三輪田は手厚く応援していく。