2024年度に創立100周年を迎える。仏教に根差した心の教育で“人格の向上”を図りながら“熱量”を持って進学実績を伸ばしている。スポーツパークや図書館機能を備えた創造的な学びの施設など大型施設の建設も進行中だ。
中村好孝校長
大切にしているのは「熱量」だ。「近年はコロナ禍による行動の制限などがあり、学校教育における熱量が減少してしまったように思います。こんな時代だからこそ、生徒の中にある限りない熱量を引き出して、失敗を恐れずチャレンジする経験をさせてあげたい」。
そう語るのは中村好孝校長である。2022年度は、学校全体の熱量を上げるために「EX(熱量推進)部」を立ち上げた。その中で企画されたのは「チアーズカードプロジェクト」。お互いを認め合い、ありがとうの思いを形にしていくもので、生徒同士、生徒から教員、教員同士などへメッセージを記入し回収箱に入れると、EX部の教員たちが配達してくれるのだ。生徒はもとより教員の熱量も高まり、モチベーションアップにつながっているという。
学習面で重視しているのは、WhatやHowだけでなくWhyを大切にすること。常になぜ?と考える習慣を身に付ければ、物の見方が変わり、思い込みにとらわれない発想ができる。
高校では、高度な学力とコミュニケーション能力を育成する「ハイグレード」、PBLの手法を用いて深い学びを習得する「PBLインターナショナル」、武蔵野大学への内部進学も視野に入れた「本科」の三つのコースが設置され、それぞれが独自の学びを深めている。
100周年に向け
大型施設の建設が進む
学校全体の熱量の高さと比例するように、生徒たちの学習に取り組む姿勢も向上し、大学合格実績も伸長している。23年春の大学入試は、共学1期生(高校)の卒業年だった。早慶上理ICU・GMARCH以上の合格者が、前年度の28人から65人へと大幅に伸びた。4・6年制大学への進学率は約93%、併設の武蔵野大学へは毎年約3割の生徒が進学している。
キャンパスでは今、24年度の学校法人100周年に向けて二つの大型施設の建設が進められている。地下に自転車400台を収容できるスポーツパークと、図書館機能を備えた4階建ての学びの空間で、前者が24年の夏、後者が25年の春に竣工予定だ。もう一つ大切にしているのは“人格の向上”である。同校は1924年、築地本願寺の境内で始まった女学校が前身で、仏教精神に基づく「真の人間教育」「人間成就の教育」を掲げている。
「人間の脳をAIが超えるシンギュラリティーが身近になってきた今、必要とされるのはむしろ心の革命です。これまでの考え方に転換が求められる中で、正しい決断をしていくためには、人格を向上させ、周囲と調和できる“規範”を持つ必要があります。AIを脅威と考えず、世の中のために正しくクリエーティブに使いこなす生徒になってほしい。そのためにも“人格の向上”は大事だと考えています」(中村校長)