東大をはじめとする難関大学への合格実績の伸びが目覚ましい、千葉県内屈指の進学校。学校行事を通じて生徒たちに結束が生まれ、仲間同士で励まし合って臨む「団体戦」の受験を、教員がきめ細かくサポートしている。
田中尚子副校長
昭和学院秀英中学校・高等学校は2023年度、体育祭や文化祭などさまざまな学校行事をコロナ前と同じ規模で実施する。田中尚子副校長は「生徒たちはこの3年間、『コロナ禍で何ができるだろう』と、自由な発想で行事や日々の学校生活に取り組んできました。互いに意見を言い合うようになり、より良いものをつくろうという結束感が生まれました。コロナ前よりも、さらに質の高い行事ができると思います」とその成長ぶりに目を細める。
生徒主体の学校行事で育まれた仲間との絆は、大学受験にもつながっていく。23年春の卒業生は、過去最高となる6人が東大に現役合格した。東大・東京工業大・一橋大・国立大医学部の合格者は、卒業生全体の8.3%を占める。
「東大に入った女子生徒に、なぜ合格できたのか聞いたところ、『みんながいたから』と言うのです。みんなで頑張ると、ぐっと力が付く。その頑張りは、後輩にも『先輩があれだけ頑張ったんだから』と受け継がれる。『団体戦』の受験で仲間意識が働いて、みんなが大きく成長します」(田中副校長)
そんな生徒たちを、学校は丁寧にサポートする。自習に励む高校生のために、図書館は夜8時まで開放。高3の夏休みには、各教員が工夫を凝らした、大学別やレベル別の70もの講習を用意している。受験直前まで生徒の質問に答えるのは、おなじみの光景だ。自然と生徒が教員を慕うようになり、卒業生が学校を訪れることも多い。
「卒業生が『大学を卒業して就職しました』『医師国家試験に合格しました』と報告に来てくれます。卒業生が連れてきた赤ちゃんを教員があやしていることもあります」と、田中副校長はほほ笑む。
ボランティア活動に熱心
学校外の学びにも挑戦
千葉県内屈指の進学校でありながら、温かい雰囲気も魅力で、周りを思いやる、優しい生徒が多い。ウクライナを支援する募金活動や障がい者へのサポートといったボランティア活動、豊かな心を育む芸術鑑賞も大切にしてきた。同時に、グローバルな視野を身に付けてほしいと、米国やマレーシアでの語学研修を実施。海外で科学分野の研究体験をするプログラムや国際科学オリンピックなど、学校外での学びにも挑戦するよう、積極的に後押ししている。
田中副校長は「この10年で、学校の進学実績だけでなく、中身も充実してきました。さまざまなことに挑戦し、倫理観や責任感、思いやりを身に付けた生徒たちは、社会のリーダーになるべき存在だと思っています」と手応えを語る。
きめ細やかな学習面の指導をしつつ、生徒の主体性は重視する。そんな教員たちに見守られ、生徒は伸び伸びと学校生活を楽しんでいる。