新カリキュラム「SHOWA NEXT」が8年目を迎えた昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校。一歩上を目指す生徒を後押しする校風や環境づくりを進めてきた。その成果が、学内外で花開こうとしている。
粕谷直彦中学校教頭
「昭和女子は、自分のやりたいことの多くを実現できる学校です。できないことはない、そう思える子になる準備をしておいてください」。2月、中学の入学予定者に、粕谷直彦・中学校教頭はこう語り掛けた。
学校改革の一環で2016年度から新カリキュラム「SHOWA NEXT」を導入。「主体性」をキーワードに、海外進学も見据えた「グローバル留学」、探究学習が軸の「本科」、理数系の「スーパーサイエンス」の3コースを設置し、「自ら選ぶ」「現地体験」を重視する実践を重ねてきた。その成果が普段の教室でも表れている。同校の全クラスで朝の日課になっている3分間スピーチ「感話」で、粕谷教頭が驚かされたことがあった。中1のクラスである生徒が、ロシアのウクライナ侵攻を家族と話し合ったという。「一方的な善悪に当てはめず、両国の立場になって検証する必要がある」と振り返る生徒。この感話を受けて「戦争に『勝者』はいないのだ」と返す生徒。見解を共有する様子に「学びの姿勢や物の見方がどんどん主体的、多面的になってきていると感じます」と粕谷教頭は語る。
学外での成果も多方面にわたる。株の模擬投資学習のコンテスト「日経STOCKリーグ」に22年度出場した生徒が入選した他、「高校生『ものづくり・ことづくり』プランコンテスト」で、大量廃棄される貝殻をコースターに活用する方法を提案した生徒が優秀賞を受賞するなど、枚挙にいとまがない。
増える学外との連携、
生徒の学びが進化
学外の専門家たちとのつながりも一層充実してきた。「SHOWA NEXTが生徒に与えているもの以上に、生徒自ら外に向かい、さまざまな挑戦をして自らの力を高めている。もはや、このカリキュラムが生徒たちに進化させてもらっているとすら感じています」(粕谷教頭)。
刺激あふれるグローバル環境が日常にあるのも、同校の特徴だ。世界22の提携・協力校の他、インターナショナルスクール「ブリティッシュ・スクール・イン・トウキョウ昭和」(BST)や「テンプル大学ジャパンキャンパス」がキャンパス内で隣接している。
BSTの生徒とは、ボランティア活動や、BSTでの生活を3日間体験するプログラムなどで、普段から交流を深めている。「今後、海外大学進学希望生徒のさらなる増加に対応できるよう体制を整えていきたい」と粕谷教頭は語る。
ひるまず「一歩上」に挑む生徒の姿は、「世の光となろう」をはじめとする建学以来の精神にも通じる。「創立以来変わらずにあるものも、引き続き大切にしています。今の時代の『世の光』とは何か、自分なりに考えて進路を定めてほしい」(粕谷教頭)。時代の求める女性像の中にも、伝統が息づいている。