日本大学の付属校として、大学の資源を活用した体験的学びを充実させ、校訓の「健康」「有為」「品格」を体現した人間教育を実践している。先取り学習や大学との連携授業を通じ、早期に進路を意識する環境づくりにも力を入れている。
三武誉生広報部主任
日本大学の付属校という利点を最大限に生かした学習に力を入れている。その一つが、隣接する同大生物資源科学部の広大な農場や施設で取り組む「フィールドワーク」だ。
大根、キャベツ、トウモロコシ、ナス……。フィールドワークの「農場実習」で、中1が栽培、収穫した作物の数々だ。
生徒は大学生の支援を受けながら、畑の整地から苗植え、草取り、収穫、自宅での調理と、「食」の上流から下流まで1年間じっくり学ぶ。中2では食品加工も体験。大学の食品加工実習センターの専任職員から教わりながら、ソーセージ、ベーコン、角煮の加工・封入作業、製品の流れを学ぶ。「旬の作物や産地にも意識が向くようになります。フィールドワークを機に、生物資源科学部を志望する生徒も多いです」と広報担当の三武誉生(みたけよしお)教諭は話す。
力を入れる国際教育も体験重視型だ。プレゼンテーションやディベート活動、日本に留学中の世界のさまざまな国から来た学生と行う英語プログラム(希望制)、夏休み中のオーストラリア語学研修(希望者選抜制)も実施している。
他にもおもてなしについて学ぶ場も検討中だ。「小学校ではできなかった体験を充実させることで、校訓の『健康』『有為』『品格』につながる成長を目指しています」(三武教諭)。
内進生向け先取り学習で
進路を早めに意識
日大各学部のゼミ見学や模擬講義、実験や実習への参加など、生徒自身が関心や適性を意識する機会を高大連携で充実させるとともに、生徒、保護者との面談を通して、本人の意思を確認しながら進学先を固めていく。
進路は内部進学だけでなく、他大学への進学も視野に入れた指導をしている。2022年度の卒業生は、日大と他大学への進学がそれぞれ半々だった。日大への内部進学を志望する生徒は、高校2、3年生で「基礎学力到達度テスト」を受ける。この成績を基にした推薦制度で、日大志望の生徒の大半が進学する。このテストの同校の平均成績は「理系、文系共に日大付属26校中でトップクラス。希望する学部に推薦される生徒は多く、医学部などの難関学部への推薦を果たす生徒もいます」(三武教諭)。
中学では基礎学力を固めると同時に、一部教科で先取り学習を取り入れ、高2では主要教科がほぼ終わっている状態だという。高校進学後は国公立大、難関私大、日大難関学部向けの「特別進学クラス」と、日本大学への進学を中心とした「総合進学クラス」に分かれ、学習を進める。
「生徒たちの『やりたい』を全てかなえてあげたい」と三武教諭。スクールモットーである「一人ひとりが輝ける環境」を具現化させた、体験と学習の環境が、それを物語っている。