2023年に創立100周年を迎え、伝統を受け継ぎつつ、グローバル社会、AI社会にも対応した21世紀型教育に力を入れる。社会で活躍する力を付けた生徒たちは、難関国公立大学への進学にも勢いを付ける。
福本眞也校長
1923年に開校された明星実務学校以来の伝統を誇る明星中学校・高等学校。「健康、真面目、努力」という創立以来の校訓を受け継ぎつつ、新たな教育目標に「自分の未来をデザインし共創していける人の育成」を掲げた。
「21世紀社会での活躍力を養うために大切な、グローバル教育やプログラミング教育、体験教育に積極的に取り組んでいます」と語るのは福本眞也校長だ。
福本校長が就任して以来、同校は、SDGs推進校としても注目されている。環境問題に熱心な企業からプラスチックごみの問題を学んだ生徒たちの要望で、ペットボトル製品を販売しないことを決めた。また、企業と共にオリジナルのマイボトルを作ることを学校側に提案し、実現させている。
福本校長は「企業とコラボしたり、学校側を説得したりするときには、大人と話をしなければならない。SDGsの取り組みを通してプレゼン力や企画力など社会人に必要なものが身に付き、生徒たちは深く物を考えるようになりました」と成長ぶりを語る。
こうした授業以外のさまざまな体験を通じて身に付ける“見えない学力”は、実は進学にもつながっている。「落ち葉で堆肥を作る研究をしたいと、立命館大学に自己推薦で合格した生徒がいました。体験学習で見つけた興味を基に、希望の大学・学部に挑戦したのです」(福本校長)。
“見える学力”も着実に伸ばしている。2023年春には、最難関大学を目指す少数精鋭の「スーパーMGSコース」の卒業生17人のうち15人が、一橋大学、東北大学、東京学芸大学をはじめとする難関国公立大学に現役合格したのだ。16人の進路専門スタッフが一人一人の状況をきめ細かく把握。模試ごとに成績を分析し、志望校の決定や弱点強化のアドバイスをしている。
6年間一貫カリキュラムで
“とんがった子”の存在も
福本校長は20年の就任以降、強力なリーダーシップで学校改革を進めてきた。日々の授業の質を上げるべく教員研修費の予算を確保。教員は外部研修にも参加し、AI時代を意識して思考力、判断力を養う授業を始めるなど、アップデートに熱心だ。
21年度、中学から入学した生徒が高校からの生徒とは完全に別のコースとなる「6年間一貫教育のカリキュラム」を採用したのも、改革の一環だ。生徒の興味を広げる機会を充実させ、6年間を通じて、大学訪問、海外研修をはじめ多種多様な体験プログラムを組んでいる。
「生徒たちは関心分野を見つけ、よく考えるようになりました。意見をはっきり述べ、好きなことに取り組む、とんがった生徒が出てきています」(福本校長)
学校改革は順調に進み、生徒の好奇心も旺盛に育っている。明星は次の100年に向けて、新たなステージに入った。