進学校として年々実績を上げている安田学園中学校高等学校。創立100周年に合わせ、生徒募集のコース制を変更、制服を一新するなど、「自学創造」の教育目標の下、さらなる飛躍を目指して改革を続けている。
稲村隆雄校長
安田財閥の創始者・安田善次郎が1923(大正12)年に創立した安田学園。それまでの男子校から2014年度に男女共学化、難関大学を目指す進学校として新たなスタートを切った。23年春の大学入試では現役で国公立41人、早慶上理ICU137人、GMARCHレベル222人の合格者を出した。これらの合計は400人に達し、学校全体のレベルがいかに高いかが分かる。
こうした進学校としての実力が定着した背景を受けて23年度から、中学では総合コースの募集を停止し、「先進コース」に一本化した。全生徒が国公立大を目指し、5教科を満遍なく学ぶことを前提にする。高校も24年度から進学コースの募集をやめ、上位コースに当たるS特コースと特進コースの2コースに集約する。
稲村隆雄校長は「中学は先進コースの志願者が年々増えているのに対応したものです。高校も国公立大の合格者を5割にすることを目標に掲げており、上位コースに絞って国公立大の割合を高めたい」と説明する。
学校完結型の学習環境
多彩な講習で自学応援
同校は他校に先駆けて「学校完結型の学習環境」を掲げ、無料の補習・講習を充実させ、塾に行かずとも大学に合格できる体制を目指してきた。それを具体化するのが「学び力伸長システム」と「進学力伸長システム」だ。
中1から「学び力伸長システム」として、自ら考え学ぶ授業を核に、基礎学力を固め、自分に合う学習法をつかむことを目指す。定期試験前の1週間の独習ウイークや学期末試験後の独習デーを設けて、生徒自身が学習計画を立てて実行し、点検、見直しをする。また、毎朝15分間、英語と数学の小テストを行い、放課後補習を通じて学習法の改善と学習の習慣化を図る。
高2の3学期からは入試に対応する「進学力伸長システム」に移行。高2の12月に必修の「進学合宿」を行い、第1志望合格から逆算して学習計画を立て、受験準備を本格化させる。3学期から高3の2学期までは、志望別に放課後進学講座を開き、夏期・冬期講習や共通テスト模試講座を行うなど手厚いメニューが用意されている。21年度から中高6年間を2年ごとに3分割して対応するステージ制を採用し指導体制を強化している。
稲村校長は「通常の授業でGMARCHまではカバーできます。それ以上は講座や講習を活用して学力を上げてくださいと説明しています」と進学校としての自信を見せる。同校には、毎年、生徒から公募し生徒会で決定する学園スローガンがある。今年は「Grasp~夢を掴んで~」。勉強もクラブも生徒会も、夢をかなえるため誠実に取り組もうという趣旨だ。節目の年、学校一丸となってさらなる飛躍を目指している。