なぜかというと、日本の建設投資額はピーク時の83兆円から、約半分に落ち込んだ。かつてはハコモノと揶揄された公共建築物を手がけてきた建築家たちが、社会から放り出された形だ。

 彼らが、中古住宅のリフォームを手がけてくれないか。そんなことを思いついた。建築家がリフォームする人気のテレビ番組がある。家が甦ると住人は「わーっ」と感動の声を発する。あの感動と喜びが、多くの人に行き渡ればいい。

 そこから今度は、建築家とのマッチングサイトをコツコツつくり始めた。今では全国で300人もの建築家が登録してくれ、利用者も着実に伸びてきている。

新築住宅と中古住宅が競い合う時代

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 最近の話題は、何といっても消費税の増税だ。景気が冷え込まぬよう、今回も増税に合わせて、住宅ローン減税額の大幅増が見込まれている。こうして新築住宅市場はずっと、優遇税制に支えられてきた。

 しかし、いつまでも同じことが続くわけがない。私たちの社会は、少子高齢化の成熟社会へと踏み出し、家余りが起きている。新築住宅は、中古住宅をライバルとして、よりグレードの高い、長持ちし、維持管理やリフォームがしやすいものに変容しないとやっていけないはずだ。

 欧米では住宅を長く使う。中古住宅が盛んに取引されている。それに比べ日本は……という議論がある。欧米で中古流通が盛んな一因は、政策で新築供給数をある程度、制限しているからだ。日本の新築優遇税制とは逆の動きだと思っていい。

 日本でもようやく、「もっと中古を」という動きが出てきた。これは本当にいい傾向だと思う。企業が競い合い、消費者が選び取るところから、健全な市場が育っていくのである。

 10年前の新築住宅は一人勝ち状態だった。今は、リフォーム技術の進化で、よりクオリティを高める力を身に着けた中古住宅に追撃されている。もっと両者が切磋琢磨すればいい。そこから住まいの付加価値が生まれるのだと、私は思っている。

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この記事が収録されている「週刊ダイヤモンド」別冊 2013年4月28日号『新築マンション・戸建て購入完全ガイド-2013春』の詳しい内容はこちらからご覧いただけます。

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