高品質な地図製品を
クラウドで提供

「GEOSPACE 衛星写真」は、同社と日立ソリューションズが提携し、米国デジタルグローブ社の3基の衛星を利用して撮影した、地上解像度50センチメートルの高精度写真。日本国内はもちろん世界各地の衛星写真を、注文後最短3日で手に入れることができる。航空機や車両では撮影できない地域を調査したり、災害時の被害状況を把握したりといった使い方が考えられる。

 GEOSPACE 電子地図に、航空・衛星写真の標高データや建物データなどを融合し、3次元化したものが「GEOSPACE 3D 地形モデル」だ。3Dならではの表現力で、崖崩れや浸水などの災害シミュレーション、観光情報提供3Dマップなど、幅広い用途に利用できる。さらにはレーザー計測機を搭載したMMS(Mobile Mapping System:モービル・マッピング・システム)を活用した「高精度な3D空間」を手がけているなど、3D空間への取り組みも積極的に実施している。

 電子地図、航空写真、衛星写真をクラウド環境で提供するサービス「GEOSPACE CDS」も提供している。二次利用に制限がないのが特徴で、例えば会社案内や販促ツール、工事案内などの印刷物にも自由に掲載できる。低コストでGISを構築・運用したいという地図会社やソフト会社にとって使い勝手のよいサービスといえる。

 不動産や金融業界向けのサービスが「GEOSPACE 地番地図」。不動産登記では土地を特定するのに、住所とは異なる地番が使われるが、地番は法務局で調べる必要がある。地番地図は、通常の地図上に目安となる地番区域を表示し、地番から住所、住所から地番を検索することができる。これまで東京23区の整備を終え、サービスを開始。順次その範囲を広げていく計画だ。

社会インフラとしての
地図コンテンツの提供

電子地図(上)から航空写真(中左)、衛星写真(中右)、さらにはそれらを組み合わせた3Dモデル(下)まで、多彩なラインアップを誇る。
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 NTT空間情報ではこれらの商品・サービスを、GISソフト会社などの代理店を通して販売している。

「地図業界の有力企業が代理店となって、当社の商品・サービスを活用した独自のソリューションを提供してくださっています。代理店の数は現在約30社ですが、今後は50社程度まで増やしていきたいと考えています」と営業本部営業企画部長の高木洋一郎氏は言う。

 同社がこれから目指す方向は、地図業界全体の活性化だ。

「地図業界には多様な企業がありますが、ベースの地図が必要なのはどこも一緒。当社の地図を共通インフラとしてお使いいただければ、各社の業務効率化やコスト削減につながります」と語るのは、取締役営業本部長の中川守氏。「当社の地図の上に各社の持つ情報を組み合わせることで新たな価値が生まれます。地図を軸とした情報流通で、業界の発展に貢献していきます」と力強く語った。