「特に多いのは、現場での業務に関して必ず報告が発生する分野。例えば、機器のメンテナンスや訪問医療・介護などです。こうした業務では、現場の滞在時間が顧客への請求に関係することもあり、『誰が、どこで、何分滞在したか』は極めて重要です。また、営業や物流分野での活用事例も多くあります」

 同じ場所にどの程度滞在したかを可視化するヒートマップ機能を用いた、営業現場での活用例がある。例えば、5分ほど経過すると地図上の印が緑色になり、1時間もたてば赤くなる。顧客先での訪問時間を、一目で把握することができる。

 物流分野ではルート自動記録機能(オプション)のメリットが大きい。配送ドライバーがスマホを持っていれば、管理画面に配送車の位置が表示される。

「配達先から『まだ来ない』という電話がコールセンターにかかったとき、通常オペレーターはドライバーに電話をかけます。ドライバーはいったん車を止めてコールバックし『あと10分で到着します』と伝える。今度はオペレーターが配達先に電話をします。このルート自動記録機能を使えば、こうした煩雑なプロセスを経ずに、オペレーターが配送車の位置を確かめた上で、その場で『あと10分くらい』と答えられます」

 現場のドライバー、オペレーター、配達先の顧客、それぞれの手間がなくなり、業務のスピードアップにつながる仕組みだ。この事例に限らず、GPS Punch!は管理のためだけの手段ではなく、現場スタッフを支援するツールとしても活用することができる。

キャリアや端末に非依存
BYODも導入しやすい

 ビジネスにおける位置情報の使い方については、さまざまな応用が考えられる。「業務を一番知っているのはお客さまです。現場の工夫次第で、私たちが気付かない活用法が次々に生まれています」と林氏。その一例として、北海道の自治体で行われている除雪車のルート自動記録を紹介する。

「仕事を発注した自治体は除雪作業の進捗度合いを知りたいのですが、いちいち確認するわけにもいきません。そこで、GPS Punch!を使って、ドライバーの動きを管理画面で見られるようにしました。雪道を進む除雪車は、地図上を少しずつ移動します。これで、どの程度まで進捗しているかをリアルタイムで把握できます」

 GPS Punch!は通信キャリアや端末に依存しないという点も重要だ。iPhoneやAndroid、Windows Phone、さらにタブレット端末にも対応。GPS機能のある端末なら、ほぼすべてで使えるという。私用端末を業務で使うBYOD(Bring Your Own Device)も導入しやすい。また、営業支援や顧客管理、グループウエアなどの他システムとの連携も容易だ。

 GPS Punch!には、地図閲覧の機能に絞った無料サービスもある。この無料版でしばらく試した後、サービスの本格的な導入に至る企業は多いという。今後さまざまな業種業態で活用が進みそうだ。