加えて、高齢になると、補聴器の操作を覚えることもハードルになる。若い世代にはどうということもない手順でも、混乱してしまう場合があるのだ。病院と連携しての、長期的なフォローは、ユーザーにとっても販売する側にとっても大切なのである。

「しばしば補聴器は当たり外れがあるといわれています。高額な機種でも自分に合わなかったり、安価でも調子よく聞こえることがある。実は、補聴器が合わない一番の原因は、正しい診断と検査に基づいた適切な調整がなされていないからです。そういう意味でも、医療機関での受診は重要です」

ビッグデータの解析で「聞こえ」調整も簡単に

「当たり外れの問題」は、補聴器そのものや販売業者に対して大きな不信感を抱かせ、補聴器の普及を妨げる要因にもなっている。加えて、補聴器の調整が難しいという現実的な問題がある。

 そこで同社は、補聴器相談に関するあらゆるデータをクラウド上で一元管理するシステムを導入し、蓄積されるビッグデータを解析することにより、難しい補聴器の調整を「標準治療」のように、より簡易で確実に行える方法を模索している。

『鉄腕アトム』の世界が現実化⁉老舗企業が開発に挑む「シン・補聴器」とは何か

「ちょっとした軽度の難聴に関しては、処方箋や病院での聴力検査、認定補聴器技能者によるフィッティング調整が不要で購入できる補聴器をお届けしたいと思っています。米国では既にOTC補聴器(Over The Counterの略で処方箋なしで購入できる医薬品、医療機器)として普及しています」

 これにより同社は、補聴器へのアクセスを広げ、本来補聴器を着けるべき方の中で5%しか保有していないという補聴器の大問題を改善に導きたいとしている。

「眼鏡は自分のために掛けるものですが、補聴器は周りのために着けるものだといわれています。何度も聞き返されたり、大声で話したりするのはストレスですからね。ご自身が不要と思っていても、周囲への配慮として必要かもしれないし、より良い聞こえの維持は健康寿命を延ばすことも分かっています」

 マキチエは、補聴器が秘める無限の可能性を引き出し、同分野の覇者を目指す。

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