3月に開催された「ライティング・フェア」で、自由に曲がるフレキシブル有機EL照明を発表したコニカミノルタ。有機EL照明を活用し未来のあかりをカタチにすることをコンセプトに、『―想いをカタチにする―未来のあかりプロジェクト』を1年前から進めている。このプロジェクトでは、「未来のあかり」をテーマにした各界のクリエーターや有識者の対談のほか、一般のアイデアを基に実際にカタチにする取り組みも行っている。「面」全体が光り、厚さも紙のように薄く、自由自在に曲げられる有機EL照明の登場で、これまでにないまったく新しい「光」の世界が開かれようとしている。
クリエーターを刺激する
有機EL照明の革新性
和紙をすき込んだ格子のタペストリーに、柔らかな光が明滅する。まるで、オブジェに命が吹き込まれ、ゆっくりと呼吸しているかのようだ。「呼吸するあかり」と名付けられたこの作品を創ったのは、和紙デザイナーの堀木エリ子さん。東京ミッドタウンや成田国際空港を舞台に、和紙と照明による作品を手がけてきた気鋭のデザイナーである。
「『面で光る』『軽くて薄い』『熱を発しない』といった特徴から、有機EL照明を『発光する紙』として使えたら面白いですよね」と堀木さん。伝統的な手すき和紙と有機EL照明の技術をコラボレーションさせることで、「今まで誰も見たことのない、革新的な『未来のあかり』を創ることができる」とインタビューで語る。
有機EL照明の性質を利用して、さまざまな素材と組み合わせれば、壁やカーテン、テーブルクロスを光らせることも可能だろう。インテリアや店舗の意匠デザインに革命をもたらす有機EL照明。その可能性は、まさに無限大といえそうだ。
ありとあらゆる「面」が
光り出す
手に持って暗闇を照らすものといえば、太古の時代の松明から始まって、ローソク、ランプ、懐中電灯と変化してきた。そこからさらに一歩進化を遂げたのが、以下の動画で紹介する「雲灯」だ。
風船に有機EL照明パネルを取り付け、コードを糸代わりにして持ち歩けるようにしたもので、ゆらゆらと光る「風船」が雲のように浮かびながら行く手を明るく照らす。軽量・薄型で自由に曲げられるという、有機EL照明の特徴がフルに生かされた作品である。
夜道を照らすあかりとして使うもよし、暗いところで目印として使うもよし。コードを長くして高く上げれば、遭難者に救助者の位置を知らせることもできる。まさに「未来のあかり」なのだ。
この「雲灯」、実は「未来のあかりプロジェクト」の一環として始まった「未来のあかりアワード」で、世界中から募集した654点のアイデアの中から最優秀賞に選ばれた作品だ。このアイデアを基に実際の有機EL照明を使ってカタチにした作品は、3月に開催された「ライティング・フェア」でも展示された。
いずれ有機EL照明の実用化が進めば、建材や機械から衣服や雑貨に至るまで、ありとあらゆる「面」を光らせることができるだろう。有機EL照明が切り開く、「光の新・創世記」。「未来のあかり」で世界の風景が一変する日は、もう間近に迫っている。コニカミノルタは、アイデアと実現力によって新しい未来をつくる“Giving Shape to Ideas”のコンセプトの下、そうした変化を強力に後押ししている。