住宅ローンを返済中の人、新規で借りる人へのタイプ別対応策

 金利上昇への対策は「現在、変動型の住宅ローンを返済中の人」と、「住宅購入を予定している人」とで異なる。

 現在、変動型を返済中の人は、返済額が増えても対応できるかを考えてみよう。

 5年ルールですぐには返済額が増えない人でも、金利が上がり続ければいずれは返済額が増える。毎月返済額が10万円程度の人では、それが11万円、12万円…などとなった場合、返済は可能だろうか。育休に入って収入が減る、教育費の負担が増えるなど、住宅ローン以外の支出も考え合わせ、返済できるかどうかを考えてみたい。

 その上で真っ先に取り組みたいのが、「家計のスリム化です」(深田氏)。物価上昇で家計が苦しくなっているが、「通信費、保険料、サブスクの利用料といった固定費を見直すことで支出を減らせないか、再点検しましょう。家計がスリム化されれば返済額のアップに対応しやすいですし、スリム化できた分を貯蓄すれば、将来、住宅ローンの繰り上げ返済がしやすくなります」。

 金利が低いうちに繰り上げ返済しようと考える人もいるが、「住宅を購入してから数年間は、頭金や諸費用の支払いで減った貯蓄を回復させる方が先決です。リタイアが見えてきたところで、ローン残高の額や、家計の状況、収入の見通しなどを考慮して、返済期間を短くするための繰り上げ返済(期間短縮型)か、毎月返済額を減らすための繰り上げ返済(返済額軽減型)かを検討し、実行するのがいい方法です」。

 変動型から固定型に切り替えるのも一案だが、変動型より固定型の方が金利が高く、切り替えれば返済額が増える。銀行によっては変動型と固定型を組み合わせられる例もあり、固定型の安心感と変動型の金利の低さ、両方のメリットを享受できる。

金利上昇を想定して借入額を考える
変動型で浮いたお金は繰り上げ返済に回す

 一方、住宅購入を予定している人には、「固定型の利用を真剣に考える時期がやって来た」と、深田氏は話す。

ついにマイナス金利解除。住宅ローン金利が上がる時に注意すべき「変動型」ローンに内包されたリスクとはファイナンシャルプランナー(CFP)、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵
北海道生まれ。外資系電器メーカー勤務を経て96年にFPに転身。現在は、特定の金融機関に属さない独立系FP会社である「生活設計塾クルー」のメンバーとして、個人向けコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じて「買い手寄り」のマネー情報を発信。すぐに実行できるアドバイスすることを心がけている。「ダイヤモンド・オンライン」での『老後のお金クライシス!』の連載も好評。『住宅ローンはこうして借りなさい』(ダイヤモンド社)、『まだ間に合う!50代からの老後のお金のつくり方』(日経BP)ほか著書多数

 固定型には途中で返済額が増える心配がないが、変動型より金利が高い。そこで深田氏が有力な選択肢として挙げるのが、10年間、金利が固定される「10年固定金利」である。金利は変動型より高いが、全期間固定型よりは低い。「10年間、金利が上がらないので、その間に安定的にローン残高が減ります。そのため、11年目以降に金利が上がっても返済額の増え方が緩やかになるのがメリットです」。

 金利上昇局面でも変動型で借りるのであれば、借入額に注意したい。

「変動型では金利が低い分、返済額が抑えられ、たくさん借りてしまうリスクがあります。例えば月10万円返済できる場合、1.5%の固定型では2900万円しか借りられませんが、0.5%の変動型では3600万円借りられます(いずれも30年返済)。しかし、借入額が多いほど、金利上昇による返済額の増え方も大きくなり、少しの金利上昇でも返済が苦しくなりがちです。1.5%程度を想定して借入額を決め、借り過ぎを防ぎましょう」

 借入額は金利1.5%を想定して決め、その上で変動型を利用すれば返済額が抑えられる。抑えられた分は繰り上げ返済に備えてためておく。

「金融機関を選ぶ際には、金利の変化がすぐに返済額に反映されてリスクが内包されていない、繰り上げ返済や金利タイプの変更などのメンテナンスがしやすい、などの点も考慮するといい」と深田氏は話す。

「本格的な金利上昇に備えて家計をスリム化するなど、“アクションはすぐに”。そして、“不安は過度に持たない”。そうしたスタンスで対応しましょう」。

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