プロジェクトの範囲は販売から生産、資材調達にわたる会計以外の基幹業務であり、対象となるプログラムは約8万6000本、ステップ数は380万ステップという膨大なものであった。同社が担当したのは、生産情報システムと資材情報システムである。「プロジェクトの期間は4年間でしたが、最初の1年は開発プロセス定義やアーキテクチャの確立など、プロジェクトの基盤を固めることに当てました。それがプロジェクトの成功につながったのだと思います」と植村氏は当時を振り返る。

ITモダナイゼーションを成功に導く三つの鍵とコベルコシステムのソリューション
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 同社はこのプロジェクトから多くのことを学んだ。中でも大きいのが、プロジェクトを成功に導く三つのポイントが明確になったことだ。一つは基幹システムのデータを保証すること。新システムでも旧システムと同じデータアウトプットの保証を求められる。二つ目が性能を保証すること。現行のレガシーシステム以上の処理性能が当然のように期待される。最後は保守性を向上させること。変更をより早く正確に反映できることで、ビジネス上の価値も向上する。

 現在、同社の提案するITモダナイゼーションで、この三つはプロジェクト推進に欠かせないポイントとして挙げられている(図)。実践から学んだこうしたノウハウが前提にあるからこそ、同社の手掛けるプロジェクトが成功し、効果を上げているのである。

悩みを共有しながら
具体的な解決策を提示

 同社が提供するITモダナイゼーションのサービスの特徴は、ツールを使った単なる置き換えではないことだ。植村氏は「企画段階からじっくり話を聞いて、どんなアプローチがベストなのか検討するところから始めます。泥臭いと思われるかもしれませんが、それが成果につながるのです」と話す。

 具体的には、既存のアプリケーション資産の可視化から始まり、新システムの構想立案、実際の導入作業、導入後の保守運用までを同社がシームレスに支援していく。必要であればパッケージを活用することも推奨し、顧客にとって最適なソリューションを提供する。上流からワンストップで支援する体制が整っているのである。

「移行やテストのためのツールなど、これまでの経験をアセットの形で提供していますが、多くの大規模プロジェクトを経験した人材、実践で成果を上げてきた方法論、それに加えて独自のツールやフレームワークを組み合わせて提供している点が、他社との大きな差別化になっています」と植村氏。その基本となるのが、高い意識とノウハウを持った人材である。

 川田氏も「レガシーシステムを抱える企業のIT部門と同じレベルで悩みを共有できて、具体的な解決策を持っている点が、高く評価されているのだと感じます」と語る。システムに危機感を持ちながらも、明確な解決策を持っていないIT部門にとって、同じレベルで意識を共有できる同社は、信頼できるパートナーと言えるだろう。

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