日本人のフィリピンに対するイメージは「フィリピンパブ」
フィリピンに暮らす日本人で、この国のイメージの悪さを嘆くひとは多い。多くの日本人がフィリピンと聞いて真っ先に思い浮かべるのは、真っ青な海や輝くような笑顔ではなく、貧困と犯罪、フィリピンパブだからだ。
80年代から90年代にかけて、フィリピンやタイなど東南アジアから若い女性を興行ビザで入国させ、風俗店で働かせて売春を強要する違法ビジネスが大々的に行なわれた。戦前、貧しい日本からアジア各国に売られていった女性がからゆきさんだが、アジアからゆたかな日本に出稼ぎに来る彼女たちはじゃぱゆきさんと呼ばれた。
日本人の男性とフィリピン人女性との交際は、その後、さまざまな社会問題を引き起こすことになる。
2人のあいだに生まれた子どもの養育を日本人男性が放棄すると、母子だけがフィリピンに取り残される。日本の国籍法はずっと父系優先血統主義で、日本籍の男性と外国籍の女性のあいだに生まれた子どもは自動的に日本国籍を取得できた(国連の女子差別撤廃条約に違反すると批判され、1984年に父母両系血統主義に改正)。婚姻の事実が証明されるか、父親の認知があれば日本国籍を取得できる子どもたちが、フィリピンには10万人ちかくいると推定されている。彼らは「新日系人」と呼ばれている。
じゃぱゆきさんがアメリカなど国際社会から人身売買との批判を受けたため、2005年に入管法が改正され興行ビザの発給が厳格化された。その影響でフィリピン人女性の入国が難しくなり、独身の日本人男性に報酬を支払って偽装結婚させ、日本に呼び寄せる手口が広がった。
フィリピンパブで女性と出会い、彼女を追って海を渡った男たちや、退職後に年金を頼りに単身でフィリピンに移住して、マニラやセブのカラオケパブで女性と知り合い結婚や同棲を始めた日本人の困窮化は、2000年になる頃から目立つようになった。その一部は70代や80代を迎えており、困窮邦人は高齢化問題でもある。
フィリピンに渡る男性の目当ては若い女性!?
在比邦人のなかにも、フィリピン人女性と円満な家庭を築いているひとは多い。だが彼らはふつうのひとたちなので、事件を起こすわけでもなく、その存在は目立たない。
一方、日本でフィリピーナに夢中になったり、フィリピンに行けば若い女性と恋愛ができると思ってやってきた中高年の日本人男性もたくさんいる。こうしたひとたちは、平均的な日本人からはすこしはずれたところにいて、トラブルに巻き込まれやすい。かんたんにいうと、女にだらしがないのだ。
現地の日本人に話を聞くと、困窮化のパターンはほとんど同じだ。
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<執筆・ 橘 玲(たちばな あきら)>
作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券編』(以上ダイヤモンド社)などがある。ザイ・オンラインとの共同サイト『橘玲の海外投資の歩き方』にて、お金、投資についての考え方を連載中。




