[橘玲の世界投資見聞録]
フィリピン・マニラの”困窮日本人”はいかにして生まれるのか?

2013年4月19日公開(2013年8月6日更新)
橘玲

 いちばんの原因は、愛人に夢中になって家にお金を入れなくなることだ。それ以上に最悪なのは、妻から文句をいわれると言い訳ができずに(そもそも英語も現地語も話せない)手を出すことだ。

 フィリピンでは、経済力があるのに妻子を養わないのは男として最低だ。女性を殴るのは、人間として許されない所業だ。

 DV(ドメスティックバイオレンス)を妻が実家に訴えると、事態は深刻化する。一族のなかの警察官やヤクザ(あるいはその両方)が出てきて、暴力的な方法で問題を解決しようとするからだ。

 よくあるのが、妻名義で購入した不動産(フィリピンでは外国人が土地を購入することができない)を騙し取られたり、預金の名義を書き換えられたりすることだ。地縁と血縁が網の目のようにはりめぐらされたフィリピン社会では、警官も役人も銀行員もすべて裏でつながっているから、言葉も満足に話せない日本人になす術はない。

 こうして身ぐるみはがれて追い出された日本人が、困窮化して大使館に駆け込んでくる。在比邦人が彼らのことを「自業自得」と突き放すのには理由がある。

歓楽街から様変わりしたマニラ

 私がはじめてフィリピンを訪れた頃は、歓楽街エルミタのゴーゴーバーのネオンがまだ華やかで、大富豪アヤラ一族が開発した新都心マカティの大型ショッピングセンターは建設中だった。そのときから比べるとマニラは大きく変わり、エルミタは新市長の指示で風俗店が一掃され、ゴーゴーバーはパサイ市など近郊の街に移っていった。マカティのアヤラセンターは、高級ホテルやデパート、ショッピングモール、オフィスビルが集まる最先端のエリアになり、オルテガス(ケソン市)やアラバン(モンテンルパ市)などの新興都市が次々と開発されている。

マカティの金融街。ビルの正面には株価ティッカー 

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経済成長するフィリピン

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 <執筆・ 橘 玲(たちばな あきら)>

 作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券編』(以上ダイヤモンド社)などがある。ザイ・オンラインとの共同サイト『橘玲の海外投資の歩き方』にて、お金、投資についての考え方を連載中。

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