また、東京圏は0.7%、大阪圏は0.9%、名古屋圏は横ばいといずれも下落幅を縮小している(地価公示は毎年1月1日時点の価格を算出し、前回調査と比較)。報告書によると、「低金利、住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支え」などが原因とされている。

 足もとでは消費税増税を控えていることもあり、消費者の駆け込み需要も見込まれているほか、3月29日に参議院本会議で可決された税制改正法案では、住宅ローン減税の拡充が決定された。「14年4月入居分から住宅ローン減税の最大減税額を現行の200万円から2倍となる400万円(長期優良住宅・認定低炭素住宅は500万円)に拡大する」(2013年4月4日付、住宅産業新聞)というのだ。

 こうした追い風に「アベノミクス効果」が上乗せされれば、不動産市場は顕著な復活トレンドに乗るのではないかという期待は大きい。「これから不動産は儲かるかも」という見通しのもと、REIT(不動産投資信託)などの投資商品にも資金が流れ込んでいる。

千載一遇の追い風に奮闘する業者たち
住宅人気は本当に盛り上がっているか?

 実際、住宅人気は盛り上がっているのか。東京カンテイ市場調査部の中山登志朗・上席主任研究員は、「活況に沸く不動産市場において、『アベノミクスの影響で不動産が売れている』という事象はまだ確認できていません。現状では、消費税増税前の駆け込み需要や、相続税の改定のほうが影響としては大きいのでは」と分析する。

 中山研究員によると、価格変動率の小さい不動産市場は、株価や為替と比べて動きが見えてきにくいものだという。

 「ただ、株で短期的に利益を出した人たちが、不動産に資産を付け替え、結果的に不動産価格が上がるという可能性は十分あります。民主党政権下のようにずっとデフレのままであれば、待てば待つほど不動産価格が下がるため買い控えするという心理が働きますが、インフレを政策目標に掲げる安倍政権に変わったタイミングで、『安いうちに買おう』という意識が広がることはあり得ること」(中山研究員)

 そう考えると、確かに今は「待ち」から「買い」に転じる潮目に当たる時期と言えそうだ。2008年のリーマンショック以降、低迷を続けた不動産市場だが、期せずして好条件が出そろった感のある今、業界関係者は沸いている。

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勉強と情報収集は必要。焦らず資産価値を見極めるべき

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