ビジネス価値を創出する
ビッグデータ活用のパートナー

 ビッグデータの活用領域は、ますます広がっている。日立は、前記のような実験から得た技術やノウハウを体系化した上で、ソリューションとしてパッケージ化した。キーとなるのは、業種横断的なコンサルティングを可能にする組織と人材の存在だ。

「ビッグデータを活用する上で、既存システムに性能上の課題を抱えている企業もあれば、『ウチも何か新しいことをやりたい』と漠然と考えている企業もあるでしょう。前者の解決策は比較的容易に見出せますが、後者の場合は、お客さまの置かれた状況を把握した上でコンサルティングなども必要です。そこで、日立グループ内からコンサルタントや分析、IT、法律関係など、各分野の専門家を集め『スマート・ビジネス・イノベーション・ラボ』という新組織を立ち上げました」(吉田氏)

 同ラボは、データ・アナリティクス・マイスターを含めたエキスパート200人以上で構成されている。自らもデータ・アナリティクス・マイスターである吉田氏は「多様な知見がぶつかり合う中で、さまざまなアイデアが生まれています」と言う。彼らは、幅広い顧客の千差万別のニーズに対応し、あらゆる業界におけるビッグデータ活用をトータルにサポートするのである。単なる分析サービスやシステム構築ではなく、「ビッグデータ・プロジェクトの成否は目的が明確かどうか」と吉田氏が語るように、顧客の業務に対する知識を持ち、必要とされるビッグデータ活用の意義や価値、目的を明確にするビジョン構築の段階からのサポートだ。その上でシステムを導入して解決策を見出すまでをフォローしてくれる(図参照)。

 現在、日立では、さまざまなビッグデータ活用プロジェクトを進めている。「理屈で伝わらないことが、分析で可視化できる」(吉田氏)ビッグデータの活用は始まったばかり。これからの社会を変え得る“大きなエンジン”をどのように使うかが問われている。

「週刊ダイヤモンド」2013年5月11日号も併せてご参照ください
この特集の情報は2013年5月7日現在のものです