子育てファミリーに楽々リーチ!〈子育て応援とうきょうパスポート〉協賛店が増えている理由

かわいらしい赤いキャラクターのステッカーを、都内で目にしたことがある人も多いのではないだろうか。子育て中のファミリーに優しいさまざまなサービスを提供している店舗や企業の目印だ。いま、幅広い業種で協賛店に登録する動きが広がっている。

■都内に広がる、子育て応援の輪

「子育て応援とうきょうパスポート」は、2016年から東京都福祉局が実施している子育て施策の一つ。都内在住で「18歳未満の子ども(※)」か「妊娠中の人」がいる世帯なら誰でも、協賛店でさまざまなサービスが受けられるというものだ。区市町村の子育て支援担当窓口で紙のパスポートが配布されているほか、スマートフォンに保存できるデジタルパスポートが東京都の子育てサイト「とうきょう子育てスイッチ」内(後出)から簡単に取得できる。
 ※高校生世代など、18歳を超えて、次の3月31日を迎えるまで使えるサービスもある。

 都内で営業する店舗や企業なら、サービス提供側になるのも簡単だ。ステッカーに記載されているサービスから提供可能なものを選んでインターネットで申請するだけで、「協賛店」としてパスポートのユーザーの検索結果に表示されるようになる。現在、小売店、カフェやレストラン、レジャー施設など約8900の企業や店舗が協賛店に。すでに登録している企業から二つの事例を紹介しよう。

◆事例1◆ ファミリーレストラン「デニーズ」の場合
\従業員のホスピタリティーもアップ!/
[お話をうかがった人]
セブン&アイ・フードシステムズの広報担当の杦谷大樹(すぎたに・ひろき)氏


 デニーズは1974年に第1号店がオープンして以来「ファミリーに優しいレストラン」を目指してきました。自然な流れでパスポートの趣旨に賛同し、2018年から都内約110店舗全てが協賛店になっています。実施サービスは「おむつ替えスペースの提供」と「トイレにベビーキープを設置」の二つです。いずれも全店の女性トイレに設置しているほか、お子さま連れの男性も気軽に利用できるよう、共用トイレへの設置も進めています。

 協賛店のステッカーを掲げたことは、スタッフが「おもてなしの心」を改めて意識するきっかけになりました。ベビーカーを押したお客さまが来店されたらさっとドアを開けたり、目線を下げてお子さまと会話したり……。そんなシーンが増えたと感じています。

 デニーズでは、一部店舗で食事のマナーや食材クイズなど、お子さま向けの独自イベントも企画・実施しています。こうした取り組みが子どもたちの楽しい思い出になり、大人になったときにお子さま連れで再訪してくれたらうれしいですね。
◆事例2◆ コンビニエンスストア「ファミリーマート」の場合
\ステッカーが心のバリアーを取り除く/
[お話をうかがった人]
ファミリーマートの執行役員・地域代表(首都圏)の草間浩昭(くさま・ひろあき)氏


 ファミリーマートは都内に約2400店。このうち、物理的にサービスの提供が難しい店舗を除く95%の店舗で2024年2月からパスポートに協賛しています。サービス内容は「粉ミルク用のお湯の提供」と「ベビーカーを店内で利用可能」の二つです。

 ファミリーマートではもともと店内に常時ポットのお湯をご用意していますが、これまでは「買い物もしていないのにお湯を使うのは気が引ける」と遠慮される方も多かったと思います。今回ステッカーを掲げたことで心理的ハードルが下がり使っていただきやすくなりました。

「協賛してからベビーカーで来店するお客さまが増えた」という店舗もあり、こうした店舗ではベビー用品やお菓子の品ぞろえを強化しているようです。また、お子さま連れの方や高齢の方に買い物かごを手渡したり、通路スペースの確保に配慮するなど、ホスピタリティーを高めるきっかけにもなったと聞いています。今後も協賛店が増えることで、子育て応援の輪が広がることを期待しています。

■無料で登録、認知度や信頼性もアップ!

 東京都では、協賛事業者(協賛店)を随時募集しており、「とうきょう子育てスイッチ」サイト内から登録が可能だ。毎月15日までに申請すると、都の審査を経て翌月1日から「とうきょう子育てスイッチ」ホームページに掲載される。掲載日までに協賛店ステッカーやポスターが送られてくるので、パスポートを持つ子育てファミリーへの目印になるよう、見やすく、目立つ場所に貼ろう。

「子育てを応援したい!」という趣旨に賛同し、子育て世帯向けのサービスを提供していれば、基本的に業種は不問(風営法で規制されている業種や、社会通念上、子育て家庭が利用することが適当でない施設は除く)。都の事業に参画している店舗として信頼性をアピールできるほか、検索結果にも表示されやすくなる。提供するサービスは、ポイント付与や景品プレゼント、割引などもOK。工夫次第でお店の個性を効果的に打ち出すチャンスになるはずだ。

●問い合わせ先
東京都福祉局
子供・子育て支援部 企画課 子育て応援事業担当
TEL:03-5320-4115
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/kosodate/passport/passport01.html

【東京子育てスイッチ(協賛店向けページ)】
https://kosodateswitch.metro.tokyo.lg.jp/shop/entry