ビジネスマンに浸透した
新しい朝食のスタイル

 時は1980年代初頭。好景気と生活習慣の変化が、日本人の食生活のバランスを少しずつ狂わせ始めた頃である。大塚製薬は、忙しく働き、不規則な食生活を送るビジネスマンに向けて、栄養補助という視点から何か提案できないか考えたという。そして、前述した国内初の濃厚流動食をもとに、一般向けの製品が開発された。それが「カロリーメイト」缶である。五大栄養素をバランスよく含んだ“バランス栄養食”は、時代の傾向とその先を予見した、オンリーワンの提案だった。

「ただ、当時は五大栄養素、バランスのとれた食生活に対する意識がまだまだ希薄。カロリーメイトに対して『これで栄養のバランスがとれるの?』と疑問を抱く方も多かったようです。認知度を高めるために弊社が行なったのは、まずアスリートへのサンプリング。体力の消耗が激しい有名選手が、栄養補助としてカロリーメイトを食べる。こうした姿がメディアで取り上げられ、少しずつ浸透していきました」

 もう一つの提案が“新しい朝食のスタイル”だった。カロリーメイト・ブロックはもともと、忙しくて朝食を抜きがちな人が、いつでも手軽に、バランスよく栄養がとれる代用食として開発されたもの。形状はスコットランドのショートブレッドがモチーフとなっている。健康志向が高まるにつれ、「朝食を食べることの重要さ」が社会にも広く認識されるようになり、同時に、カロリーメイトの存在価値も高まっていった。

 

グローバル時代の
ビジネスマンを支える

「90年代に入るとダイエットブームが起きますが、栄養バランスがとれ、カロリー計算も簡単なカロリーメイトは、健康的なダイエットに効果的だと幅広く支持されるようになります。コンビニやドラッグストアに健康食品として置かれるようになると、朝食やダイエットに限らず、いろんなシーンで利用されるようになっていきました」

 発売以来、カロリーメイトの製品設計は変わっていない。五大栄養素を中心に、20種類の栄養素がバランスよく含まれること。11種類のビタミンが含まれること。ブロックなら一本100キロカロリー。缶なら一本200キロカロリー。30年の間、こうした製品設計を変えていないのは、誕生当初の完成度が高かったことの証明でもある。それほど自信があった製品だからこそ、新しい市場を創出できたともいえるだろう。

大塚製薬の佐賀栄養製品研究所では、日夜、さまざまな研究がなされている

「30年前と現代では社会環境が大きく変わっています。グローバル化によってビジネスタイムの切れ目が見えにくくなっているし、人々のライフスタイルも多様化しています。変わらないのは、仕事でも生活でも、基本になるのは健康であり、それにはバランスのとれた食事が必要だということ。カロリーメイトの役割も変わらないと思いますが、朝でも昼でも夜でも、いつ食べていただいても、効果的な栄養補助ができる食品であり続けたいですね」

 次の30年に向けて、ロングセラーの歴史は続く。

カロリーメイト公式サイトはこちら
http://www.otsuka.co.jp/cmt/

栄養バランスのとれた食事が朝から脳を活性化させる

 健康志向が高まり、食事のカロリーを気にしたり、ランニングやウォーキングで運動不足を解消したりする人は増えている。ところが厚生労働省の調査によると、朝食を食べずに一日をスタートさせる人の割合は増加傾向にある。忙しく、朝食の時間も惜しい、ということかもしれないが、これは本末転倒。朝食を食べないと脳のエネルギーが不足して、集中力や記憶力が低下すると指摘されているし、朝食を食べることで体温が上昇し、体内の働きを活性化させる意味もある。忙しい、面倒くさいという理由で朝食を抜くと、仕事の生産性低下にもつながりかねないのだ。では、何を食べてもいいのか? 大塚製薬の佐賀栄養製品研究所では、東北大学の川島隆太教授との共同研究によって、「頭を働かせるには糖質だけでなく栄養バランスが重要」と公表。今までの常識を覆す研究成果として注目されている。大塚製薬として朝食啓発の活動等も実施している。
*「デキる人の栄養バランス」http://www.otsuka.co.jp/health/dekiru/saishin/