健康と病気の間には「未病」と呼ばれるグレーゾーンがあり、40代になると、多くの人はこのグレーゾーンに突入することになる。できることなら、このグレーゾーンからも脱却して、病気知らずの老後を迎えたい。そのために必要なのが予防医療。つまり、カラダ マネジメントの考え方だ。
私たちは、たまに風邪をひいて発熱しただけでも健康のありがたさを思い知るし、腰や膝を痛めて歩けなくなったとき、普通に歩けるということがいかに貴重なことかをあらためて思い知らされる。
お金、仕事、趣味、教育など「幸福度」を測る指標は数多くあるが、誰しも病気になって初めて、「最大の幸福は、実は健康であることだった」という事実に気付くのである。
残念なことに、病気の種類も病人の数も年々増加し、それに伴って国民医療費は年に約1兆円のペースで膨らんでいる。
2011年度の国民医療費の総額は実に約38兆円。これは1年間の国家の税収に迫る額だ。このままのペースで進めば、やがては税収を超え、国家財政の破綻につながるのではないかと危惧されている。
医療費は家計も圧迫する。一例にすぎないが、胃がん摘出手術で長期入院すると、約10万円の自己負担(高額療養費制度を利用の場合)となるが、退院後1年間、抗がん剤治療を受けると、約40万円の自己負担が生じるというデータもある。
経済的な負担だけではない。病気になって自立機能を失ってしまえば、連れ合いや子どもの日常生活に大きな影響を与えてしまうし、何より本人が一番つらい。
その人が企業人であれば、企業は大切な戦力を失ってしまう。特に管理職と呼ばれる立場の人材が病に倒れたなら、企業の損失は計り知れないものがあるだろう。そこで注目されるのが予防医療だ。