高市氏は「戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考える」と述べた。
同氏はさらに、日本政府は台湾問題について平和的解決を期待するという立場で一貫していると説明したものの、ダメージは避けられなかった。
中国は台湾を自国の領土と主張しており、武力統一も排除していない。中国政府は高市氏が内政に介入したとみなして反発し、第2次世界大戦における日本の軍国主義と同氏を結び付けるなどして個人攻撃を強めた。
中国国営メディアはXに風刺画を投稿した。高市氏が大日本帝国陸軍の軍服を着て腰に刀を差したものや、戦後の平和憲法を燃やし、旭日旗を頭に巻いた亡霊を解き放っているものもある。
高市氏が保守派有権者から支持を得ている理由の一つは、その国家主義的信念だ。同氏は若手議員だった頃、日本が行った植民地支配と侵略戦争を村山富市元首相が謝罪したことに批判的で、そのような声明は国民的議論なしに出されるべきではなかったと述べていた。他の多くの議員と同様、戦犯を含む戦没者をまつる靖国(やすくに)神社を頻繁に参拝している。
中国は高市氏を攻撃することで、発足して間もない政権の不安定化を狙っている。ペンシルベニア州リーハイ大学の准教授で日中関係が専門のイナン・ヘ氏はこう指摘する。台湾のアジアの友好国のみならず、米国に向けた警告でもあるという。
「これは中国語でいうところの『殺鶏嚇猴(ニワトリを殺してサルを脅す=一罰百戒)』だ」とヘ氏は述べた。「日本に十分痛い思いをさせて他の国を怖がらせたいのだろう」
この外交対立は長期化しそうだ。日本の当局者は関係悪化で経済が打撃を受けることを懸念する。中国がレアアース(希土類)鉱物の輸出を制限すれば、特に影響が大きい。
それでも高市氏の人気は衰えていない。世論調査によると政権の支持率は約7割で、退任を目前に控えた石破茂前首相の9月時点の支持率の2倍以上だ。
一部の国・地域は日本を擁護している。台湾の台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)は21日、中国政府が日本産水産物の輸入を停止したことに対抗し、台湾人に日本産ホタテを購入するよう呼び掛けた。
ジョージ・グラス駐日米大使は20日、「大統領、私自身、そして大使館から(高市)首相に直接、われわれの支持を伝えたい」と述べた。
高市氏はこの対立に動揺する様子をほぼ見せていない。20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開かれる南アフリカに向かう途中、自身の公式Xアカウントに投稿し、服装の悩みを打ち明けた。「外交交渉でマウント取れる服、無理をしてでも買わなくてはいかんかもなぁ」
(The Wall Street Journal/Jason Douglas and Junko Fukutome)
※この記事はWSJにて2025年11月25日 10:45 JSTに配信されたものです。



