【解説】表面上の「PBR」に騙されてはいけない
歴史の重みがそのまま利益の源泉となる「資産バリュー株」。その魅力をさらに深掘りし、具体的な銘柄選びのヒントをお伝えします。
株式投資の指標に、株価が純資産の何倍かを表す「PBR(株価純資産倍率)」があります。一般的にPBR1倍割れは割安といわれますが、老舗企業の場合、この数字はさらに「劇的な割安」を意味している可能性があります。
なぜなら、PBRの計算に使われる純資産は、あくまで「過去の安い簿価」で計算されているからです。もし、土地を現在の時価で計算し直した「実質PBR」を弾き出せば、表面上は0.8倍に見える企業が、実は0.3倍(解散価値の3分の1の価格)で売られているという異常事態に気づくことができます。
これこそが、負ける確率を極限まで下げる「究極の安全域(マージン・オブ・セーフティ)」なのです。
「オールドエコノミー」こそ宝の山
では、具体的にどのような業種を狙えばよいのでしょうか。キーワードは「装置産業」と「物流」です。
明治・大正期に広大な土地を必要としたビジネス、例えば「倉庫・港湾」「鉄道」「繊維(紡績)」「製紙」といったセクターは要注目です。
かつて工場や倉庫として使われていた土地は、都市化が進んだ現在ではマンションや商業施設に適した一等地に変わっていることがよくあります。地味で成長性が低いと思われがちなこれらの「オールドエコノミー」企業の中にこそ、本業の利益を遥かに凌駕する含み益を抱えたダイヤの原石が眠っているのです。
カタリスト(きっかけ)を見逃すな
もちろん、ただ資産を持っているだけでは株価は上がりません。重要なのは、その価値が顕在化するタイミングです。
現在、東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営」の要請により、企業は内部に溜め込んだ資産を吐き出し、株主に報いるよう強く求められています。「含み益のある資産の売却」や「M&Aの標的になること」への期待感は、かつてないほど高まっています。
会社の沿革ページを開き、創業年を確認する。そして貸借対照表の「土地」の欄を見る。そのひと手間が、あなたに市場平均を大きく上回るリターンをもたらしてくれるはずです。
※本稿は『50万円を50億円に増やした 投資家の父から娘への教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。









