物語の中の真実、
リアリティを楽しんでほしい

独自の思考法こそロスチャイルドの真髄
ザ・ウェイ・オブ・シンキング

――主人公のネイサン・マイヤー・ロスチャイルドは、大変興味深い人物ですね。

城山三郎経済小説大賞贈呈式の様子

渋井 彼自身の知恵と工夫によって、現代にも通じる投資やリスクヘッジの手法を編み出しました。それ以前には誰も成し得なかったことです。グローバル金融の礎を築いたと言っても過言ではありません。作品を書き始めたのは、アラブの春の気配が忍び寄ってきた頃でした。リーマンショックや欧州危機があって、あらためて資本主義システムに懐疑を抱いた人も少なくなかったでしょう。

 そして、アラブの春ではネットを通じた情報伝播の力を目の当たりにし、これからの世界の枠組みのあり方に思いを馳せずにはいられなかった。そんな中で、現代社会の原点に返ってみると、ネイサンはじめロスチャイルド家の果たした役割が重みを増して感じられました。

――主人公はじめ登場人物たちは、物語の中でとても生き生きと活躍します。

渋井 執筆しているときは、登場人物それぞれの動機がぶれないよう、相当に気を配りました。動機がぶれる人間は現実世界でも関心を引くことがありません。小説世界では、なおさらです。どんな考え方をして、それをどのような行動で表すのか。登場人物すべてについて考え抜き、破綻のない物語を紡ぐようにしました。ロスチャイルドの関係者にも会いました。「ロスチャイルドはブランドではない。独自の思考法(the way of thinking)こそが、ロスチャイルドだ」という言葉が、印象に強く残っています。250年の長きにわたって世界経済で大きな役割を果たす真髄が表れていますし、創作の核にもなっています。

――取材も重ねたことでしょう。

渋井 作品の舞台に実際に立って、空気を体感することはとても大切です。地図をじっくり読み込み、当時の天候もできる限り調べました。今は便利な世の中で、ネットで現地の画像を確認することもできます。でも、パリの街は何度も自分の足で歩き回りました。自分が物語の現場に立っていると実感できるくらいでないと、リアリティある描写はできません。読者の皆さんにも、臨場感を楽しんでいただきたいと思います。

――小説を書いてみたいという人は多いようです。そんな人たちにアドバイスがあるとすれば?

渋井 よき読者を得ることでしょうか。私の場合は夫でしたが、ご家族に読んで批評してもらうといいと思います。照れくさいかもしれませんし、耳の痛い話もあるでしょうが、そこは勇気と辛抱で乗り越えてください(笑)。

――7月24日のセミナーでは、どんなお話をされますか。

渋井 ロスチャイルド家のエピソードを引きながら、今の時代に役立つビジネスや経営についての話題を考えています。佐高信さんとの対談でも、皆さんの知的好奇心を刺激できると思います。

出版記念イベント開催!

渋井真帆
『ザ・ロスチャイルド』発刊記念講演会
~ゲストに佐高信先生を迎えて~
日時:2013年7月24日(水) 19:00〜20:30
場所:JP TOWER Hall & Conference
   東京都千代田区丸の内2丁目7番2号 JPタワー 4階
入場料:無料(先着300人)
   講演後はサイン会を予定

プログラム
第1部 渋井真帆講演
   「『ザ・ロスチャイルド』ここだけの話」

第2部 佐高信先生との対談
   「激動の時代にリーダーに求められるもの」
   

≫≫お申し込みはこちら
主催:家計の総合相談センター
協力:ダイヤモンド社
   クロスメディア事業局

 

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