日本人の生命保険の加入率は9割を超えるといわれている。一方で、時代やライフステージに応じて、保険の契約を見直したいと考える人も年々増えている。その人に最も合った保険とは何か──。それを客観的にアドバイスできる立場にあるのが、複数社の保険商品を取り扱う総合保険代理店だ。多様な社会に最適なシステムとして、急成長を続けているグッドウインの門田修社長にその可能性について話を聞いた。

──会社設立の経緯をお聞かせください。

グッドウイン代表取締役
門田 修氏 Osamu Kadota

門田 私がそれまで勤務していた保険会社を辞め、2人の仲間と共に新会社を設立したのは、1997年のことでした。ちょうど、保険業法が改正され、保険代理店が複数社の保険商品を取り扱うことが可能になった頃です。私たちは、6社の保険会社の商品を扱う訪問販売型の総合保険代理店として会社をスタートさせました。

 来店型保険ショップではなく訪販型のビジネスモデルとしたのは、私を含めた設立メンバーが営業畑の出身で、契約を自ら取りに行くことに強い自信があったからです。お客さまが来るのを待つのではなく、自らお客さまとの接点をつくり出し、自らの工夫と努力で契約を勝ち取る。現在でも、それが弊社のカルチャーの一つとなっています。

──現在、ビジネスはどのくらいの規模まで拡大しているのでしょうか。

門田 拠点の数は、全国に78拠点、委託契約を含む総社員数は700人を超えるまでになっています。新契約保険料は、年換算で50億円を超えています。

 ただし、私たちは必ずしも規模の拡大を目指しているわけではありません。組織づくりで最も大切なのは、「信頼」である。それが私の信念です。本社と支社、上司と部下、同僚同士が信頼し合える風土をつくることが、すべてに優先されると考えています。

暗黙知の営業情報をすべて開示し
強固な信頼関係を構築する

──その「信頼」は、どのようにしてつくられるのですか。

門田 信頼というものは、正しい情報を正確に伝えることから始まるものだと思います。弊社では、保険会社ごとの新商品や重点商品の情報や営業ノウハウ・市場開拓情報、そして毎月の支社業績までも社員向けウェブサイト「カフェグッドウイン」や全国支社長会議などで情報共有しています。保険の営業現場ではノウハウが暗黙知になりがちです。それをあえて共有することは、営業マン全員が売れ筋商品や会社の動向も理解しやすくなるのと同時に協働の関係が生まれると思います。

 また、本社と支社、営業マンの間の手数料の分配についてもそうした中で明確にしています。

──行き過ぎた情報開示は組織を維持・拡大する上では不都合にもなるのではないでしょうか。

門田 規模の拡大を前提にしているわけではないと申し上げたのはその点です。組織を拡大することで事業を拡大していこうとすれば、そうした情報統制も必要かもしれません。しかし、私が目指しているのは、まず会社の中に信頼に基づいた結び付きをつくり上げ、それによって社員の定着率と意欲を向上させることです。社員が会社を信頼し、生き生きと働くことができるようになれば、事業はおのずと拡大していくし、契約保険料もおのずと増えていくはずだと考えています。