一般に、AサイトとBサイトの個人データを組み合わせれば、企業はユーザーをより詳しく知ることができる。これにより、サイト運営者や広告主には、ユーザー個人に対して高度にカスタマイズしたサービスが提供できるというメリットが生じる。

 一方で、そこには個人データを組み合わせるための“名寄せ”が必要となり、AとBを合わせた統合データベースが生まれる過程でセキュリティを確保するための対応が必要となる。

 いくら自分の嗜好に合った情報が提供されても、たとえば、特定事業者のもとに個人データの巨大な集積が生まれることに抵抗感を持つユーザーは多いだろう。

 これらの課題を新しいアプローチで解決するのが「ユニティ・グラフ」だ。

「『ユニティ・グラフ』を使えば、データを統合する必要はありません。ユーザーIDを管理する各データホルダーのもとで個人データは管理され、ユーザー本人が必要とする瞬間だけAサイトとBサイトのデータが統合されます」(石田氏)

 さらに石田氏は、これまで企業は、「過去の購買履歴」を頼りに顧客が求めている商品やサービスを推測してきたが、そこには必ずしも過去と現在とをつなぐ確かなロジックはないと指摘。

 今後は、広告などを含むさまざまな情報の連携で人工知能技術が活用され、その連携を制御するニューラル・マッチング技術、さらには戦略的なデータ統合を実現する「ユニティ・グラフ」を使うことで、顧客の現在の行動を瞬時に理解し、タイムリーかつ適切なアクションが可能になると言う。

 ビッグデータ時代のセキュリティリスクを最小化しつつ、今現在を可視化することで、ウェブマーケティングに新たな可能性を開くだけでなく、IDビジネスにおいて人々の生活や社会基盤を変えていく「ユニティ・グラフ」。

 ニューラル・マッチング技術なども組み合わせながら、KPIソリューションズは、インターネットの健全な進化とスマートな知識情報社会の創造に貢献しようと考えている。