有識者会議で出ていた「増税すると景気が心配」という意見は、財務省にとって思う壺である。というのは、すでに税収の上振れが数兆円単位であることがわかっているので、それを財源として補正予算の話も出ている。さらに、今回の消費税増税法でも、附則18条2項では、「成長戦略並びに事前防災及び減災等」にカネを回せる。この条項は、自民党が修正させたものだ。これらをみれば、今回の消費税増税分は、すべてバラマキのために使って、景気の落ち込みを防ぐというのは、政府の既定路線である。
ちなみに、政府や日銀の試算では、増税してもたっぷり財政支出も増やすので、景気は落ち込まないとなっている。民間シンクタンクでも、増税しても景気が落ちないという結果のところは、増税しても派手にバラマキをするという前提なので留意されたい。
しかし、マクロでは税金を集めて政府がすべて配れば景気の影響はなくなるはずだが、政府がカネを民間から吸い上げて政府が配るという「まともでない」方法だ。具体的にいえば、消費税増税を負担する一般庶民が泣いて、減税や公共支出で潤う既得権者が得をするという、アンフェアなものだ。こうしたことをやると、結局、経済成長はできなくなる。
ちなみに、1997年の消費税増税では景気に影響がなかったという学者が多いが、この「増税して政府が使ったから景気の落ち込みがなかった」というのがキモだ。でも、そんな「まともでない」方法をとったので、その後、経済成長は上手くできなかった点を見落としている。
増税以外の代替案がほとんど出ず
有識者会議では、増税以外の代替案がほとんど出なかったのは情けない。筆者は、歳入庁創設によって、税・社会保険料の徴収漏れ10兆円の増収、消費税インボイス導入で3兆円の増収が可能だと、これまで再三述べてきた(2012年6月14日付け本コラム参照)。このコラムはアベノミクスの登場以前に書かれたが、ほとんどの部分は今でも妥当する。



