振り返れば市場予想が狂い始めたのは、今回のFOMCが開催された週の頭のことだ。

 9月15日、オバマ大統領が「ローレンス・サマーズ氏がFRB議長候補を辞退するという彼の決断を受け入れた」との声明を発表。

 それまで次期議長の最有力候補で、QEの効果にも懐疑的だったサマーズ元財務長官の目がなくなったことで、想定シナリオが一挙に不透明感を増したのだ。

 14年1月に任期満了を迎えるバーナンキ議長に代わり、サマーズ氏がQE3縮小を粛々と進めていくとの見方が多数を占めていたが、肝心のトップが誰かわからなくなったのだから無理もない。そのため、「今回のFOMCは辞める議長の政策決定であり、あまり重要ではない」(市場関係者)という向きもあったほど。だがふたを開けてみれば、超サプライズ決定となった、というわけだ。

無期限緩和策の
終了の難しさを
露呈したFRB

 それにしても、なぜFOMCは今回、テーパリング開始を見送ったのか。FOMC声明文と議長記者会見を見ると、大きく三つの理由が浮かび上がる。

 第一に、早期縮小を示唆して以降、ここ数カ月に起きた金利上昇が景気回復を遅らせてしまう可能性があることだ。

 第二に、10月に迎える米国政府の債務上限の問題がある。同月中旬には米国政府が借金できる総額が天井に達する。議会との調整がうまくいかず歳出が凍結されれば、成長の足かせになる可能性は十分ある。

 そして第三に、景気回復が持続的かどうかを見極めたいというものだ。確かに、FOMCメンバーの13年、14年の経済成長率見通しは今回、下方修正されていた。

 つまり今回の縮小開始見送りは、「市場の投機的な動きを醸成する、あるいは出口戦略が複雑化するといったQEの負の側面よりも、景気の先行きに対する不確実性を重視した結果」(雨宮愛知・米国野村證券エコノミスト)なのだろう。

次のページ

ふに落ちないのは、二つ目の債務上限問題

TOP