ただしふに落ちないのは、二つ目の債務上限問題だ。なぜなら、バーナンキ議長が5月末から6月にかけて、「今年後半に縮小開始、14年中ごろまでに終了」というタイムテーブルを繰り返し説明していた時点でも、わかっていた話だからである。
にもかかわらず、今回無視できなくなった背景には、「シリア問題でオバマ政権の指導力が低下し、債務上限問題も難航しそうなため、何らかの政治的な圧力があったと考えるのが妥当」(米金融筋)との見方も出ている。
そもそも、ハト派(緩和派)のバーナンキ議長自身は縮小を急いでいたわけではなく、FOMC内におけるタカ派(引き締め派)からの突き上げが激しかったため、退任を控えたバーナンキ議長はFOMC内のコンセンサスを重視してきたという経緯がある。今回はバーナンキ議長がまとめ切れず、それが市場との対話における一貫性を欠いた面も否めない。
となると、次期議長の有力候補の1人、超ハト派のジャネット・イエレン副議長が次期議長に就任しても、「QE3終了へ向けて、多様な意見があるFOMC内をまとめるのは、困難が予想される」(加藤出・東短リサーチ社長)。
QE3開始当時、日本でも称賛の声が上がった「無期限」の緩和策。だが、その出口戦略がいかに難しいかを改めて露呈した格好だ。まだら模様ながら強めの景気指標も出ていた米国に対し、消費税増税や中国との関係など先行き不透明感がまだ強い日本。無期限の異次元緩和策を継続中の日本銀行にとっても、今回の迷走は決して人ごとではない。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)




