9月17~18日、注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)。多くの市場予想に反し、いわゆる量的緩和第3弾(QE3)の縮小(テーパリング)開始を見送り、世界の金融市場に衝撃が走った。
日本時間の9月19日未明、米国の金融政策の行方を決定する米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を、世界中の市場関係者が固唾をのんで見守っていた。
というのもこの日、ついに“量的緩和第3弾(QE3)”の縮小(テーパリング)開始が決定する見込みだったからだ。
2012年9月に開始した米連邦準備制度理事会(FRB)のQE3は、850億ドルもの巨額の金融資産を毎月購入する、無期限の金融緩和策だ。その縮小開始は、金融危機直後の09年以降、約4年半にわたって米国が巨額のカネを市場に流し込んできた一連の“QE作戦(QE1、QE2、QE3)”に終止符が打たれることを意味し、まさに政策の大転換となるはずだった。
米CRTキャピタルが行った調査によれば、市場関係者の99%以上が、今回のFOMCで縮小開始決定とみていた。むしろ市場の最大の関心は、1回目の資産購入策の減額幅が小幅にとどまるかどうかに集まっていた。
ところが、である。こうしたおおかたの市場予想に反し、なんとFOMCは縮小開始の見送りを決めたのだ。
日本時間の午前3時に「月額850億ドルで維持」の一報が伝わると、さすがに市場からはブーイングの嵐が起き、「まさか!」「(金利上昇を恐れて)臆病風に吹かれたな」といった声が聞かれた。QE3縮小を見据えて市場がこれまで進めてきた準備を、台なしにしてしまったといえる。
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これに対しバーナンキFRB議長は日本時間午前3時半から開かれた記者会見で、「われわれの政策が市場から命じられる筋合いはない」と反論したが、こうした市場予想を形成してきたのは、ほかならぬバーナンキ議長その人であり、彼が率いるFOMCだった。
「QE is Back!」
安倍晋三首相の米国講演ではないが、ある市場関係者はこう皮肉った。NYダウは過去最高値を更新し、ドル円相場は一時1円20銭前後も円高に振れ、98円台を割る始末。今年5月の議会証言でバーナンキ議長が早期縮小開始を示唆して以降、その開始時期をめぐって乱高下を見せてきた金融市場の“テーパリング狂騒曲”が、再び鳴り始めた。